黒く艶やかなる獣の檻 その7

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子宮をくすぐる官能の深さに、大きく躯がはじけていた。
みはった目の先に映りこむ、あどけない小悪魔のとろけた瞳が愉悦に濡れている。
くすぐったい鼻梁をすりあわせ、会話すら、暖かい舌先に犯されながら。
奴隷と奴隷のむつまじい交わりだ。
大きく開く唇同士がぴっちり癒着し、唾液をたえまなく攪拌され、卑猥な汁音だけで
腰から下が抜けるほどグチャグチャによがらされ、ただひたすらにお尻をイキませて
アナルプラグをかみしめていた。
下半身を嬲り尽くす律動すら羞恥のきわみで、たえきれず目をつぶってしまう‥‥
「センセ。みなみセンセ」
「!!」

‥‥‥‥声が、出ない。

なにが起きたかわからず、ただ、冬日の照りつけるグラウンドを凝視していた。
体育着の女子生徒が2面に別れてサッカーに興じている。
巻きあがる土埃とボールを蹴る音、入り乱れる歓声。体育の授業だ。つまりは、私の。
「どうしたんです、みなみセンセ」
「う、あっ」
「なんですかソレ、センセイ寝ぼけてる」
ころころと、玉のように声を転がし、私の脇に体育座りした音羽かなめが笑っていた。
温度のない瞳が、おかしそうに笑み崩れている。
「うなされてました。みなみ先生の寝ぼすけ。職務怠慢です」
「あ、ええ‥‥そうね」
混乱がゆっくりさめていく。音羽かなめを叱りに部室にいったことまでは覚えていた。
革拘束をつきつけられ、危ういところで断ったことも。つい先日のその記憶が、アブ
ノーマルな白昼夢になってしまったのか。
言葉もない。ただ、なまなましかった。躰に刻まれた感触までがそう。まるで現実だ。
「‥‥」
「ため息、めずらしい。センセ」
手の甲にあごに押しあて、腕組みしてはぁと吐息をもらす。やましさに、音羽かなめ
の透明な瞳を見つめ返せなかった。
どうしてあんな夢を見たのか。思春期の、それも生徒の女の子を相手に。


               ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


授業は後半、フリーの試合中だった。少女たちはサッカーボールを追うのに夢中だ。
見学している音羽かなめを見下ろす。
運動着の上からジャージをぴっちりはおった音羽かなめは、太ももの裏を抱えこんで
小さく体育座りしていた。不思議そうな上目づかいをむけてくる。
「みなみ‥‥センセ」
「!?」
どきっとしてわけもなくグラウンドに目をそらす。
そう。
あれは、夢、だったんだ‥‥
胸を張り、深呼吸してジャージ姿の自分を見下ろした。号令用のホイッスルをいじり、
ひりついた二の腕を両手でさする。
うたたねしていて、パイプ椅子で変に圧迫していたらしい。
さりげなく腕を背中にまわし、そっと伸ばして後ろ手に両手の指をからめあわせる。
背もたれに上体を押しつける。後ろ手をつつむ鈍い圧迫感が、心のどこかをぎゅっと
縛った。
認めるしかない。自分にウソはつけない。
あの夕方、かなめにエスケープマジックの話を聞かされてから、私の心はその妄想に
取りつかれているのだ。たった一人で縛りあげられ、壇上でもがく少女の懊悩に同化
したいと願ってしまった。
彼女の舞台を思うだけで胸をぎゅっとわしづかみにされる。
音羽かなめが囚われのヒロインに仕立てられ、トリックなしの革拘束に躰をゆだねる
のは新入生歓迎会――クラブ活動紹介での壇上なのだ。
ざわつく講堂で、あらゆる生徒と教師の衆目にさらされながら、音羽かなめはひとり
アームバインダーのベルトにぎりぎり閉じ込められ、あえかに白いうなじをさらして
身もだえるのだ。
しかも、そのステージに繋がれ、もがくのは彼女だけではない‥‥
「うふふ。覚悟、つきました?」
「っ!‥‥ちょっと、かなめ、ちゃん!?」
かろうじて威厳を保ったものの、からかわれて声が乱れていた。
演劇部顧問としてのレポートはごり押しで生活指導の吉岡主任に承認されたものの、
脱出マジックを演じるため、条件がひとつ、ついていた。
――私自身の、参加。
顧問としてではない。少女と同じ壇上に立たされ、お揃いのアームバインダーをこの
身に施され、エスケープという絶望にのたうつ肢体を人前にさらけだすのだ。
まだ断ることはできる。
けれど、無垢な期待をむけてくる音羽かなめを拒絶なんてできない。
もう、どうしようもないほど、私は囚われの彼女に感情移入してしまっているのだ。
仲良く首輪と首輪をつなぎとめられて。
みっちり熱をはらむ胸を煽るようにお互い擦りよせながら、頭ひとつ低い少女に首を
かたむけ、一本の棒みたいに固められた絶望的な後ろ手拘束の躯をよじり、ひたすら、
ただひたすら密着して、どれだけ唇を‥‥舌と舌をからめて‥‥
こんなにも淡いローティーンのつぼみに灯る、危うい色香に下腹部を溶かされていく。
気づけば、恋人のように視線がからみあっていた。
「ねえセンセ‥‥キツい、わ」
「ん? 音羽さん?」
ねだる響きに、どこかとろけた返事を返してしまう。少女の声に瞳をひきよせられる。
腰まで届くポニーテールを揺すり、うなじのチョーカーをのぞかせながら、かなめは
体育座りの膝から下、ほっそりした肢をわりひらく。
重ねあわせた両腕に、黒く艶やかな獣の縛めがギリリと食い入っていた。
ベルトを緊めあげられた3連の革手枷は皮ひもで首輪につながり、音羽かなめはコン
パクトに梱包されて卑猥にカラダを蒸らしているのだ。
「先生の手で縛られてから、ずっと、カラダ火照ってる。私、いやらしい子だから」
「え?」
「いいの。次はみなみセンセだよ。ね?」
間の抜けた驚きを、音羽かなめの叱責が押しながす。
背中で伸ばす両手は、いつのまにかナイロン製のあざやかな紫のアームバインダーに
半分がた押しこんであった。さりげなく立ちあがれば椅子につないだベルトが緊まり、
肩の根元まできりりと拘束を食いこませたいやらしい女教師の完成なのだ。
施錠さえ不必要、脱出不能な緊縛がここにできあがる‥‥
「う‥‥あっ‥‥かなっ、かなめちゃ‥‥」
「違うでしょ」
薄紅に羞らう少女の唇を、舌先が蛇のように舐っていく。
「みなみ、教えなかったかしら? 私のことは」
ダメ。
聞きたくない。
ごく間近の、現実に起こるだろう未来予知。こんな状況に私は身をおきたくない‥‥!
吐息で耳たぶを慰撫しながら、幼い声が。


「お姉さま、って、呼びなさい。良いわね、みなみ」
「‥‥はい、かなめお姉さま」


               ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


「ンァ‥‥んんんンっ‥‥ん、プ、ぅあ」
「んぁぁンッ!」
よがり泣く腰をぎちりとグラインドさせ、濁流じみたオーガズムに没したまま意識を
取り戻す。
呆然とするまなじりの数ミリ先、まつげのふれる距離で音羽かなめと溶けあっていた。
濃厚にからまりあい、羞じらう二対の瞳。無垢の底に澱んだオンナの濁り。透明な色
から目をそらせず、妖艶なまなざしに吸いこまれていく。
グチャグチャのディープキスで口腔を繋ぎあわされ、唇のふちに涎がにじむ。
淫らな白昼夢‥‥そんなの、甘すぎる。
オーガズムの刹那に脳裏をよぎった予知夢どころではない。授業中のひそかな自縛で
は済まされない、リアルで、逃れようのない絶望的な被虐の現実が、私自身をマゾに
作り変えていた。
よりにもよって満員電車の中で、緊縛に馴らされた奴隷のカラダへ調教されていく。
痴漢好みの、露出緊縛でイってしまう浅ましい痴女へと。
そう。
‥‥こんなにも自発的。
ここでは、ムチも、お仕置きも、ご主人様の命令さえ不要。
抗おうがあきらめようが、ただ残酷なアームバインダーに緊めつけられているだけで、
いやらしく秘めた花芯まで淫靡に造り替えられ、従順な奴隷へ躾けられていく。
自動的で、何ひとつ手がかからない。
奴隷は奴隷らしく、拘束された裸身の無力さを思い知らされてしまう。
浅ましさを肢体に刷りこまれ、下腹部に刻みこまれ、快感にあらがえなくなる。
わずかに残された自由をむさぼり、感覚を尖らせ、くりかえし後ろ手を揺すりたてて
疼痛と不自由さを味わい、愉しみはじめてしまう。
そう。
ただ、放っておくだけでいい。
そもそも、普通こんな無慈悲な拘束、一時間と持たない。悲鳴をあげるか気絶するか
のどちらかだろう。
体育の教師をしているこの私の――楠みなみの――ように柔軟なカラダだけが、ここ
までほっそり両腕を束ねられ、懊悩にのたうちまわる悦びを味わいつくせるのだ。
このアームバインダーの残酷さときたら。
狭隘なアームバインダーはすでに五感の一部に融けこみ、もぞつく指先のいじましさ
さえもが惨めに私をよがらせてしまう。
何をしてもムダ。
逆らおうが暴れようが、革袋を外から緊めあげる無数の革ベルトは、自力では二度と
ゆるめることも外すこともできない。肩までじっとり汗みずくになり、なおいっそう
柔肌にくびりつく革拘束の悩ましさに身悶えるばかり。
よろける隙間さえない満員電車の人波は、そのまま肉厚の拘束そのもの。
微動もしない裸身をギチリと軋ませ、うなじに吸いつく首輪にとろけ、コートの裏地
に自分から尖った乳首をこすりつけて淡いオナニーをくりかえす。
――ひたすら淫乱に、被虐の味を覚えこまされていく。
鏡のように車内を写す窓ガラスに映りこむ、卑猥すぎる女教師の痴態の一部始終こそ
ウソいつわりない‥‥本当の、私自身‥‥ッ!
「ン、ンァ‥‥ひぁ、みなみぃ」
「ふひッ」
鉄軌の轟音が窓を震わせ、甘やかなハーモニーをまぎれさせる。
もはや喘ぎの調整さえできない。感じすぎ、イかされすぎていて、ざわつく雑踏の中
間断ない私の嬌声がどれほど響いているかさえわからない。
「ん、んふっ」
瞳を動かすと、ぴっちり唇をふさいだまま、恥ずかしげに、かなめが呼吸を浅くする。
音羽かなめの湿った鼻息が頬をぬらす。
2つの鼻梁はたがいに寄りそい、顔を傾けたまま、すでに数分にわたり(いや数秒?
数十分?)少女と私は唇をむさぼりあっていた。
まるで鉄の口枷で連結されているかのよう。
イかされて気を失っているあいだもずっと少女に蹂躙された口内が、今ではドロドロ
に爛熟しきっていた。
口腔をびっちり蓋がれて、限界まで呼吸は制限されている。
懸命に胸を弾ませながら呼吸をくりかえす。暖かい鼻息さえもがはしなく音羽かなめ
の呼気とまじりあい、くすぐったい吐息の刺激すら、立てつづけのクメのきっかけに
つながってしまう。
「ンう‥‥ンク、んこ、クッ‥‥ん」
「んっふ」
どろり、どろりと、何度目かの往復を果たした粘液が、喉を灼きながら落下していく。
コクコクと喉をならす。最後の一しずくさえ余さず喉奥へ注ぎこんでもらえる悦び。
本物のオーラルセックスだ。
いつになったら‥‥
この無限のエクスタシーの地獄から、拘束から、逃れられるの‥‥?
ぬるんと、少女の朱い唇から舌を抜き取っていく。
腫れぼったい膿みのように、だるい舌を引き剥がす、ボタタとあごから首輪までした
たった唾液の固まりに、かぁっと耳が染まった。
音羽かなめが切なそうに目をぎゅっとつぶり、爪先立ちで伸びあがってくる。
「私、イってる。さっきから、ずっと、イキっぱなし。今だっ、ぅあ‥‥またッ‥!」
「かなめ‥‥ッ」
「ん、ダメ‥‥みなみ、みなみ‥‥ィ」
私の耳元で必死に声を殺しながら、舌ったらずなおねだりなのだ。
――おねがい‥‥っ!
――もっと、私の舌におもいきりイタズラして。虐めてェ‥‥!
言葉がなくても音羽かなめの願いは感じとれた。うなじを傾け、小さく濡れた舌先を
前歯でつまみとり、ぐりりと表面をしごいてやる。
効果は絶大だった。
幼い瞳がきゅうっと深くへすぼまり、黒く一点に収縮する。あ、あ‥‥と愛らしい声
を残して、彼女は嬉しそうに絶息した。ひくひくと上体が揺れ、下半身が万力めいて
私の股を締めつけてくる。
ほぼ同時にアナルプラグを括約筋でぎゅむっと噛みしめ、私も何十回目かのアクメに
昇りつめていた。知らず裸身がコートの中でつっぱり、アームバインダーを力ませた
まま、そりかえって爪先立ってしまう。
ゆるやかになる電車が2つめの駅に滑りこんでいくのを、私は背後のざわめきと開く
ドアからもれる空気の音で感じとる。快速のこの電車では、痴漢を追いだした駅から
ここまで7分足らず。
ほんの7分。それが、到底、信じがたかった。
もう、数時間は囚われつづけている気分だ‥‥あるいは、一生出られないような。


               ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


「ね‥‥気持ちイイ‥‥みなみ、も?」
「私もよ‥‥私のかなめ」
ようやく自失の連続から自分をとりもどし、ひそやかに鼻先をくっつけて会話する。
偶然にも乗りこんできた乗客のケータイが鳴り響き、音羽かなめも私も、今はゆるく
震えるプラグに犯されるのみ。ほどよく下半身を嬲られ、愛撫にたゆたう。
「みなみ‥‥んッ、虐めてあげる。よ?」
「ぁ‥‥お断り」
じれったくもいやらしい駆け引きがはじまる。
唇の端を触れあわせ、たわわな乳房をなすりつけて挑発する。先に溺れたほうが負け
‥‥無慈悲な緊縛を施された者同士、不自由なカラダのみを使っての、ひどく大胆な
ペッティングだ。
痴漢はもういない。それが、周囲の見て見ぬふりが、逆に私たちをたぎらせる。
「ひぁ!」
ぞわわっと背筋がそりかえった。音羽かなめが、唐突に耳たぶを甘噛みしてきたのだ。
かぼそい喘ぎをこぼす私にかまわず、耳骨から誘惑のさざめきが注ぎこまれてくる。
――その程度の声なら大丈夫よ。もっと本気で聞かせて。
――だ、だって‥‥かなめがイジワルする。
――この混雑でも、気づくのはせいぜい2・3人。手なんか出せやしないわ。
――ど、どうして? 出せないって言いきれるの?
答えず、艶めいた笑みをたたえて音羽かなめが腰をすりつけてきた。
私は知っている。その品行方正なプリーツスカートの下には、布地一枚履いていない
まるだしのお尻が隠れているのだ。
より正確には、アナルプラグつきの皮製の貞操帯が食いこんでいる。
え。いや、待って‥‥
ショーツを巻きこんだ私と違って、音羽かなめはじかにお尻のすぼまりでプラグを咥
えこんだまま、神経のかたまり、未成熟な肉芽に残酷な刺激を送られつづけている‥
‥ってこと?
ずくりと下半身が疼きだす。
ひどく無防備なまま、ゆるく長く気をやりつづけている少女の淫靡さを思って、被虐
的な心が同期してしまったのだ。
私だって変わらない。ただただ無防備なまま、いつ襲われたっておかしくない。その
危ういスリルを愉しみながら緩やかにお尻を犯されつづけている‥‥っ‥‥
「んぁ‥‥ッ!?」
せっぱつまったよがり声があふれ、焦って必死に押し殺す。
ダメ‥‥
また絶望的な気分がせりあがってくる‥‥疼きがおさまらない‥‥っ‥‥
ひどい目にあわされているのがホントに気持ちイイ。
マゾ奴隷扱いされて、無抵抗に縛られたカラダを弄りまわされて、好き勝手にイかさ
れてしまうなんて。そういう、危うい状況に放りこまれていることを意識するだけで、
カラダがおかしくなってしまう。
つまり、アームバインダーってのはそういう拘束衣なのだから。
抵抗力と気力を完璧に奪いつくす責め具。
オンナを、芳醇な一つのモノとして肉の塊扱いさせる、無慈悲な梱包器具なんだから。
だから、今の私は何をされたってされるがまま、抵抗できないのだ。
無防備な胸をこんな風に揉みほぐされて。
いつ、このコートをむしりとられたって、文句なんか、言えな‥‥‥‥なっ?
眼を見開いて言葉をうしなう。
手が。
私の胸を、揉みこんでいた。
おずおずとコートのへりをつかみ、上から2つ目のボタンまで外していく。とろりと
熱をはらんで、はちきれそうなジャケットの胸元を揉まれ、息を呑むまもなく左右に
ガバッとはだけられていた。
「んぁァッ!」
裏地がこすれる感触にたえきれず、媚びた喘ぎがもれでてしまう。
ぎゅむと押しこめられていた二つの乳房が弾けながらまろびでて、音羽かなめの頬を
たたく。
――衝撃は、遅れてやってきた。
「キャっ‥‥みなみ、すごい、乳首そそり勃ってる」
「‥‥‥‥ヤ、ッ!」
違うッ‥‥だって、これ、安心できるかなめちゃんの手じゃない‥‥!
なんで気づかなかったのだろう。
だって彼女は私と一緒。ううん、むしろ施錠されている分、私よりも無残なカラダ。
いまもまだ、逆三角錐のアームバインダーの革袋にギッチリ後ろ手を包みこまれた、
淫乱なセーラー服のままなのだ。
外気にさらされた私の乳房を、にちりにちりと指がたわめていく。
音羽かなめが、縛られっぱなしの奴隷の後ろ手で私のコートを脱がすなんて不可能な
はず。まして尖りきった乳首をコリコリ指先で揉みほぐす‥‥だなんて。
なら‥‥ならっ!
乳首を転がすこの指づかい‥‥本物の、痴漢‥‥ッッ!!
頭の中が真っ白になり、絶叫しかけた刹那、かなめの唇が私をふさいでいた。
悲鳴と空気のあまりを残らず吸いだされ、慰撫する少女の舌に進入されてあますこと
なく蹂躪されていく。
ただ呆然として、かなめの瞳に魅入られていた。
鳥肌がわくほど敵意のこもった眼が、私を通りすぎて背後の痴漢にそそがれる様を。
やがて、因果を言い含めたかのようにかなめの瞳が和らぎ、戻ってくる。
胸をいじりかけていた指が、いつのまにか退いていた。
「ぷはっ、ンァ、はぁ、はァァ‥‥っ」
「ンフ、く‥‥」
どくどくと沸騰しそうな勢いで視界がゆがみ、波打つ。
穏やかで深い、いつものディープキスだった。煌めくアーチがしたたり、なごり惜し
げに舌先が離れていく。鎖骨のあたりにコツンと額を押しあてられ、暴走しかけた
鼓動のすきまに、かなめの囁きが潤滑油となって浸みこんできた。
「安心して、みなみ」
「ぅぁ‥‥へ?」
「この手のサラリーマンはみんな臆病。『今だけ』よ。つけまわされる心配はないわ」
「あ‥‥ッ」
「だから、愉しんでも大丈夫。みなみはただの奴隷だから。よがっていいよ」
ゾクゾクッと、芯から躯が震えあがった。
かなめの愛撫にたいしてではなく、微熱をはらむ吐息にでもなく、親友に秘密を打ち
あける少女さながらの、声に含まれた確信の響きに。
彼女は、すでに経験済なのだ。こうした屋外での公開羞恥プレイを。
少女の肩に突かれ、くるりと90度、窓ガラスに正面から向き合ってしまう。つまりは
アームバインダーでみっちり絞りたてられた後ろ手が、痴漢に丸見えになってしまう
体勢なのだ。
おびえる目を動かすと、平凡な、ちょっと挙動不審な背広の男性が私の背後にいた。
さっきから痴漢との一部始終を目撃していた若い相手だ。
ためらいが消え、気配が大胆になる。
「あ。やっ」
首輪のリードが弾み、ぐいっとカラダを押されて窓ガラスに押しつけられてしまう。
ただでさえアームバインダーのせいで胸を張る体勢にさせられ、突きだしていた乳房
に窓ガラスがくっついた。大きく変形し、乳首が揉みつぶされていく疼痛に、あ、と
あられもない声を零してしまう。
いびつな楕円を描いて、窓に密着した乳房のとほうもないいやらしさ。
こんな浅ましい痴態、AVにだってあるかどうか。しかも、ぐにぐに背中を押されて
ガラス面で変形する丸出しの2つの乳房は、露出させられた私の裸身そのものなのだ。
冷えきった窓が、さらにつぅんと乳首をとがらせていく。
電車の速度がゆるやかになった。
窓の向こうにホームセンターのネオンが見える。ということは、あと数秒で次の駅に
滑りこんでしまう‥‥そうなったら、もはや逃れようのない、拘束されてよがる痴態
を公衆の面前に晒されてしまう‥‥ッ!! 
乳房を窓から引きはがそうと裸身をくねらせるが、卑猥に腰がグラインドするばかり。
見ず知らずの痴漢に露出を強制されて逃げられないのだ。
「いいの。みなみは、はしたないカッコをみんなに見せつけて。感じてるでしょ?」
「や‥‥やっ、イヤぁぁ」
「私を信じて。驚く人もいるでしょうけど、みなみだって気づかれることはないわ」
「ど、どうしてぇ」
「普段とギャップがありすぎるからよ。誰が信じるの。露出狂でヘンタイのマゾが、
みなみだなんて」
露出狂、ヘンタイ、マゾ‥‥
下腹部が、甘い官能にむしばまれていく。
アームバインダーに固く緊め上げられ、どうしようもない無力な裸身をこわばらせる。
これじゃ‥‥まるで音羽かなめが調教師で、私が躾けられている奴隷みたい‥‥
こんな上下関係‥‥イヤ。なのに。
数本の路線が交わるターミナル駅に、電車がすべりこんでいく。
対岸のホームに見せびらかすみたいに、丸出しの胸をガラス窓に押しつけているのが
信じられない。だって、顔だって、丸見え‥‥なのに‥‥
なのに、かなめに逆らえない‥‥
言いなりだ、私は‥‥!
車両が停止し、反対側のドアがひらいて人の足音と奔流がいりみだれる。
向いのホームから無数の視線を浴びせかけられ、私は下唇をきつく噛みしめて小さく
うつむいていた。ホームをさっと眺めただけで分かる人、人、人いきれ。男女問わず
セーラー服からスーツ姿、大学生までいるようだ。
あきらかに十数名が私に気づき、舐めるようにこちらを見やり、騒ぐ者さえいる。
さらし者にされている‥‥奴隷だから‥‥
羞恥のあまり、うなじが、頬が、耳たぶの先までがみるまに火照っていく。
ぞくぞくと背筋を伝い降りていく慄きが、淫らな雫となって下腹部に溜まっていく。
スラックスまで沁みた小さなオツユが、じわじわと広がっていく。
「うふふっ、ほら。乳首が尖ってきましたよ」
「か、かなめちゃんが、おっぱい横から舐めるから」
「あら」
懸命に囁きかえす私の心などお見通しとばかり、彼女はくすりと薄い笑みを浮かべた。
「真っ赤になって顔を隠さなくても大丈夫」
「な、なにを」
「みんな見るのは好きだけど、巻き込まれるのは嫌。その勇気もない。写真撮られる
リスクも低いわ。駅のホームでもシャッター音響くもの。ただ晒し者なだけ」
「で、でも撮られたら‥‥どうするの?」
おびえて向き直り、さらにビクビクっとなってしまう。にまあ‥‥と、音羽かなめが
イタズラっ子の表情を浮かべていたのだ。
「みなみ、本当はそれを妄想してたんじゃない? 今」
「へっ‥‥?」
「ネットやケータイで、みなみのヤラしい姿が広がって、オカズにされちゃうのを」
そ、そんな‥‥
その瞬間お尻を撫でられ、跳ねあがってしまう。背後からの痴漢に嬲られて、結果、
まるで見せつけるかのようなジャンプで揺れる乳房を対岸に誇示してしまったのだ。
ゾブリと後ろの穴をアナルプラグでこじられ、衝撃が脳を灼く。
おかしくなる‥‥
惨めすぎて、よがるどころか頭が真っ白に‥‥‥‥
うぁ、と小さな声が零れる。衣ずれのささやきが重なり、やがて静かに音がとだえる。
「ねえ。私も一緒だよ。恥ずかしい写真」
「かな、め‥‥!?」
「心配しないで。私をかばって痴漢に暴行されたって、証言してあげ‥‥んむ‥‥ッ」
不自然にとぎれる小さな呟き。
雑踏で身動きもとれないカラダに、ぎゅうと小さな肩が押しつけられる。
誘われるように囚われの少女を見下ろし‥‥今度こそ、ひっと息をもらしていた。
耳の裏まで真っ赤になった音羽かなめの横顔。
ギジリとアームバインダーの革に犯されたまま、彼女は私の隣に並ばされ、黒いセー
ラー服を胸元までまくりあげられ、ふくらみかけの滑らかな胸を丸見えにさらされて
いたのだ。
痴漢の手で、まくりあげられたキャミソールの裾を口に押しこまれ‥‥
みずから望んでぺたんこの胸をはだけ、冬服からのぞく純白のキャミソールを深々と
唇で咥えさせられてゆく。
まさに、自分から誘って乳首を見せつけているかのよう。
そのまま私と肩をくっつけて窓に押しつけられ、平板な胸のほんの先っぽが、小さく
丸くガラスにひっついている。
しかも――
小さいながらも硬くしこりきった少女の突起は、痴漢の指にはさまれていた。
2つの乳首どちらも人差し指と中指でしっかり摘みあげられ、ガラスで無残に押しつ
ぶさたまま薄紅色に染まり、こねくりまわされている。
後ろ手のアームバインダーの底でもぞつく指先だけが、少女の葛藤と懊悩の証。
「んン、ふ‥‥」
惨めな調教風景を見せつけられ、下腹部はドロドロのオツユまみれだった。
抵抗もできず、どころか反論さえせず痴漢にされるがまま、露出を歓んでいる奴隷の
ような扱いを受ける‥‥そんないやしい私たち自身に、カラダの芯深くがキュウッと
感じきってしまうのだ。
両手を束ねられ、固く食い入った革袋に女のプライドを奪われて。
その程度の拘束で、浅ましい女の性を見ずしらずの痴漢に明け渡し、もてあそばれる。
仲良く首輪をさらし、乳比べをさせられてしまう現実。
ガクン、と電車が揺れ、そのままゆっくり、私たちを見世物にして走りだす。
「‥‥ン、んぁ」
少女の唇から、あえかな吐息がおちた。
アームバインダーの奥で思いきり腕を突っぱらせ、そのままくてっと脱力する。
あわてて膝を差し入れ、彼女をささえた。鎖骨の下まで思いきりまくられたセーラー
服を咥えようとするが、うまくいかない。
思わず睨みつける瞳が涙でゆがみ、ぎょっとした顔の痴漢があわててそっぽを向く。
どうしよう‥‥
どうしたらいいの‥‥!?
頭の中はパニックでグチャグチャだった。これ以上痴漢は触ってこないかもしれない。
けれど、私も、そしてローティーンのかなめまでが、ほとんど全裸にむかれてしまい、
自力では直しようがないのだ。
かなめちゃんのセーラー服の裾を咥えれば、元通りにズリ下ろせる? でも、ううん、
どうやって? すし詰めの車内で密着させられて、頭一つ低い彼女の胸元まで届きよ
うもないのに。
それは私の乳房も同じだ。
音羽かなめの意識が戻ってくれなければ、私自身ではどれだけ首を傾けたって、自分
のコートを咥えておっぱいを隠すなんてできないのだから。
「っ‥‥‥‥んぁんンっ!」
忘れかけていたクリトリスとプラグからの共振に、一瞬で心を持っていかれる。ぶる
ぶるっと連続するアクメに子宮をノックされ、あやうく卒倒しかかった。
冗談ではない。かなめと私、二人そろって失神したらそこですべてが終わってしまう。
がくんと少女の首が弾み、ほう、と視線を起こした。
「ん‥‥あ、へ、みなみ」
「遅い、戻ってくるのが。あんたのせいで私」
「うん‥‥ゴメンね、みなみ」
再び、ゆるやかにホームへと電車が滑りこんでいく。駅名を見てはっとした。あと3
つ先が私の最寄り駅。そこでこちら側のドアが開き、私たちは降りなければならない。
なら、せめてさっきの痴漢に、コートとセーラー服だけは直させなければ‥‥!!
背後の痴漢に声をかけようと身をひるがえす。
その瞬間、痴漢が動いた。ホームでドアが開くと同時にこじるように人波に埋もれ、
あっという間に見えなくなってしまったのだ。
「あ、ちょっ‥‥」
「しーっ、駄目、みなみ‥‥ッ!」
叱責の意味に気づき、ガバッと反転して胸をかばう。
あやうく忘れていた。私自身も、犯してくれと言わんばかりの躯だったのだ。こんな
丸出しの乳房を弾ませながらでは、逆に痴漢を招きよせるだけ。さっきの相手を探し
だすなど、とうていできるはずもない。
「ン、んぁ‥‥ッ!」
しかも、カラダをねじこんでくる乗客に押され、人の壁が迫りあがってきた。
濁流に押しつけられ、蛙のようにドアにひっついてしまう。プレス機に背を押され、
お互い向きあうどころか、尖った乳首が激しく揉みつぶされるまでガラスに圧迫され
てしまう。
こ、この体勢じゃ‥‥ダメェ‥‥
かなめちゃんと向き合ってないと、はだけた服を直せない‥‥っ!
パニック寸前の焦りがこみあげ、アームバインダーの中で後ろ手を大きく波打たせる。
すでに、遅かった。
ドアに押しつけられたまま、自由な部分がどこにもない。セメントで固められたよう。
膝の力を抜いても周囲からの圧力で立っていられる。それほどの人口密度だ。
しかも、押しつぶされたのは彼女も一緒だった。
音羽かなめもまた、さっきと同じように正面を向き、窓ガラスに胸をひっつけていた。
2人とも、拘束の上から圧倒的な人波に押しひしがれ、身動きがとれないのだ。
少女が、小さなあきらめの吐息をこぼす。
「どうしよう、みなみ。もう2人とも、服、直せないよ」
「‥‥イヤ」
こんな姿で、ホームに放り出されるのは、イヤァ‥‥!
絶望感と共に、ひときわ大きな絶頂の高波が押し寄せてくる。パンプスの中で爪先を
丸め、ぎゅうっと絶頂をやりすごした。もぞつくお尻さえも、感じまい、感じまいと
懸命に気を張って意識からしめだす。
音羽かなめは、淡々とした顔に、どこかやつれた色を浮かべていた。
「これ、もうムリだよ」
「ウソ。諦めちゃダメ。なんとかして、胸を隠さなきゃ。2人で」
「手を使えない奴隷同士でね」
くすりと少女が笑う。その笑みにさえ、抜けきらない疲労と妖艶さが残っていた。
あれだけイかされつづければ、もうイヤでもカラダがHなモードに入ってしまうのだ。
それでも許されない。
あきらめたら‥‥このまま降りた先で、痴女として通報されてもおかしくない。そん
なの、絶対にダメだ。
おもいっきり腰をねじり、なんとかして、カラダ半分だけでも向き直ろうとする。
何度も、何度も。固まりだすセメントのなかでもがく囚われのヒロインさながらに。
いや。この場合は、固まってしまったあと、なのか。
唐突に、かなめが呟いた。
「ねえみなみ。みなみは、痴漢狩りって知ってる? そういう女の子たちの集団を」
「‥‥な、なに‥‥?」
聞いたこともない言葉にとまどう。
痴漢を‥‥狩る?
どういう意味だろう。今の状況とは真逆だ。臆病なはずの痴漢によって窮地に追いこ
まれたこの状況とは。抜けだすきっかけになればと思い、かなめの瞳をとらえる。
「それは何?」
「いいえ。ただ、聞いただけ」
音羽かなめは小さくまつげを伏せ、熱をはらんだ吐息をこぼしていた。
たんにのぼせているのか。それとも。
いくら場慣れしているとはいえ、彼女だって限界に近いのだろう。そして、そもそも
の下車までのリミットもわずかしかない。
どうしよう‥‥?
どうしたら、この破廉恥な状況から、抜けだせるの‥‥?



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