グラップル・フィーラー 〜凌辱の美姫〜 04

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「存分に、嬲りつくして差し上げます」
かすかに頬を染めて呟く司宮玄乃の口元はあくまで冷ややかに歪み‥‥冷笑、だった。
触手の束によって×字に手足を裂かれ、浅ましく拘束された磔の身。
かろうじて首だけをそむけ唇をねぶる触手から逃れようと悶える天使の額には、べっとり
汗で前髪が張りついていた。破れたメイド服からは触手が入り込み、嫌がる緊縛の裸身を
くまなく粘液で舐めつくす。
皮下から神経に侵入してくる敵の擬装手を食い止めるのがやっと。しかもそのいりす自身、
疲弊した変成意識野が過剰放出するドーパミンによって気も狂わんばかりの快楽衝動にむ
しばまれ、肌を灼きつくす疼きを懸命にかみ殺しているのだから。
「もっともこの程度の縛めさえ解けずによがり狂う新米の 触手使い グラップル・フィーラーに必殺技を使うなど
無粋の極みではありますが」
「!?」
「そんな顔をせずとも、くすっ。事実、貴女はクレッセント・シードの『特性』も本質も
知らなかった。覚えておきなさい。擬装手使いグラップル・フィーラーの戦闘の真髄は、敵の殲滅にあらず――」
にたり、と。
歪な笑みが、死神の唇を彩る。
「――敵の、凌辱にこそあり。すなわち蹂躙こそ屈従こそ隷属こそ最大の戦果なり」

メイド服を裂かれ、囚われの身をまさぐられて。
こみあげる理不尽な快楽衝動にあらがう辛さから、爛れた吐息をこぼして。
‥‥戦闘開始からここまで、わずか3分足らずだった。

               ‥‥‥‥‥‥‥‥


沈みゆく冬の残照が、廃墟のごときスタジアムパークを照らし出していた。
――天使と死神が闘争の構えをとった、その広場を。
「では、いきますよ。せいぜい麗しい輪舞曲を期待します」
「!」
「先手は譲りましょう。いざ」
長く伸びた影がゆらりと地を這い、少女の鎌が誘うように揺らめく。
G3も手に嵌めず、挑発的に迫ってくるこの幼げなコスプレ少女が、本当に敵なのか‥‥
躊躇は、しかしほんのわずかだった。
追跡られた事実。先ほどの攻撃を軽くさばいた戦闘力。空気を淀ませる程のプレッシャー。
なにより‥‥
(カラダが熱い、変な感じ‥‥集中が、うまくいかない‥‥)
連続したシードの酷使による反動が、意識野への負荷となっていりすを責めはじめていた。
顔をしかめ、こみあげる奇妙なむず痒さを深く飲み下す。ナイトバイザーのリミッターを
振りきって、じりじりした熱が鴻神いりすを躯の芯から炙りだすのだ。
真手須智香を襲った昨夜のように理性を失ってしまったら、もはや彼女に勝ち目はない。
逃げるにせよ戦うにせよ、短期決戦しか残されていないのだ。
「――發!」
左手のクレッセント・シードから最速の擬装手が湧きだす。
鎌を振るう近接戦には遠すぎる距離。むしろ、これは擬装手使いグラップル・フィーラーにとって絶好の射程だ。
先手必勝、粘液をしたたせた触手が走り、少女の周囲を球状に高速旋回しはじめた。脱出
を封じた巨大な捕縛網が、いりすの意志ひとつで一気に収縮する――!
「‥‥なめられたものですね、私も」
「なん、ですって?」
「甘い。甘いですわ。天使のように、死のように。とろけて朽ち果てそう」
ひらめく斬撃は正しく一閃だった。
雁字搦めに絞りあげる繭の中から涼しい声が響き、破斬の快音にかき消された。ひとたび
へばりつけば執拗な吸着力で剥がれぬはずの擬装手が、いともあっさり寸断されたのだ。
「くすくす‥‥仮にも単騎で後詰をまかされた私の戦力、ゆめゆめ侮らぬよう」
「くッ」
咄嗟に踵にわだかまる擬装手を解放し、いりすは軽々と20メートルは飛びのいていた。
その‥‥その、着地したいりすの鼻先に、ニッと冷ややかに笑う司宮玄乃の顔が。
「だから、あ・ま・い」
「!?」
巨大な鎌を肩に預けた死神は、低い姿勢からただ一歩、反応さえ許さぬ疾駆で仕切り直し
を計ったいりすに肉薄していたのだ。薄い胸を緊めつける無数の革ベルトがジャラリと弾
み、死神のローブが風圧にはためく。
声なき悲鳴をあげ、黒の天使は左手を突き出していた。
零距離から噴き出す触手の一斉掃射。
もはや捕縛などという生ぬるい手ではなかった。鋭利な擬装手が少女の顔を、胸を、貫く。
「‥‥そして遅い」
まばゆい光輝がはじけ、眩んだ視界で鈍い打突がとどろく。
肩に預けた玄乃の右手から大鎌にかけて空間が裂け、こぼれた光の雫のなかから宙を漂う
夜藍色の擬装手が呼び出されていた。
少女は、無傷だった。
叩き込んだ擬装手すべてが、軌道の外へ弾かれるのでなく真正面から打ち返されていた・・・・・・・・・・・・・。
はらうのも難しい密着状態での攻撃を、司宮玄乃は正確に自らの擬装手で逆ベクトルから
撃ち返し、勢いを削いでことごとく無効化しきっていた。
「まさか、その鎌、G3デバイスなの!?」
「くすっ‥‥『均しき恩寵グリム・リーパー』の一撃、貴女は受け止められるかしら」
忌わしい戦慄が背筋を貫いた。
頭上を薙ぐ不吉な唸り。知覚より認識よりなお疾く、死の慄きが黒の天使を反応させた。
死にものぐるいで飛びのく天使の前髪をかすめ、超重量の鋼がゆるやかに落下していく。
爆風が広場のタイルを穿ち、木っ端のようにいりすを吹き飛ばした。
「グッ、なんて攻撃‥‥ッッ!」
グランド・ゼロにそびえたった鎌をつかむ小柄な躯もまた宙に舞い上がっている。
それほどの反動をもたらす一撃。
司宮玄乃の大鎌は、まさに攻防一体の武器だった。
信じがたい重量を片手で振りまわす少女は、大鎌そのものでなくG3から発現した虚空間
を握りこむことで軽々とあやつっていた。ダッシュからの防御不能な斬撃に加え、白兵戦
では擬装手が鉄壁のガードを織り成し、いりすの攻撃を受けつけない。
(‥‥まるで隙がない。けど、この程度なら私も)
錐もみ状態で吹き飛ばされつつ、墜落に備えて擬装手のクッションをくりだす。
とたん‥‥ゾクリと産毛の逆立ちそうな官能のさざ波が鴻神いりすの背を走り抜けていた。
全身がひくんとおののき、バランスを崩した黒の天使はタイルに叩きつけられる。
吐きだすのは乱れた呼吸と、みだらがましく疚しい吐息。
「ン、んぁ‥‥あぁン‥‥な、なんで‥‥熱いの」
「蹂躙するは甘美なり。粉砕するは愉悦の極み。踊れ踊れ踊れ踊れ妾と共に破滅を踊れ」
疼く躯を弛緩させる猶予はなかった。
さえずり、歌い、舞い、頬を上気させた死神がかろやかに身をひるがえす。
暗青色のローブのスリットから太ももをのぞかせ、玄乃は容赦なく大胆に踏み込んできた。
触手をてこに跳ね上がった鴻神いりすの直下で、ごっそり大地が抉り取られる。
「くぅ、ンッ」
ふたたびビリビリした甘やかな刺激が黒の天使の体内でうねり、下腹部にじわりと微熱が
にじみだした。擬装手を繰りだすたび躯が淫蕩な反応によじれかかる。バイザーの抑制は
薄膜をへだてた情欲のもどかしさばかりをかきたて、かえって黒の天使を鈍く緩慢にして
いく。
大地に穿たれたクレーターを、さらに巨大なクレーターが消滅させていった。
反転、反転、宙で手首がひるがえり、いとも軽やかに圧殺の刃が襲う。
時の大鎌は大気を唸らせ、狂乱の連撃をくりだしていた。衝撃波で広場が震え、街路樹が、
街灯が、看板が、支えを失って連鎖的に倒壊していく。
紙一重でかわし続けるいりすに余裕はなく、立てつづけの爆圧は確実に体力を削いでいく。
「忠告いたしましたわ。ゆめゆめ侮るなかれと‥‥格下は格下らしく必死で踊りなさい」
「私、私は‥‥負けないッ!」
活を入れ、叫んだ黒の天使は自ら高く跳ね上がった。
ほんの一瞬の浮遊、落下までのタイムラグをつかんで爆心地の底で鎌を突きたてた死神に
照準を定める。集中と同時にメイド服の下がかぁっと火照りだし、肌をさいなむ悩ましい
疼痛がいりすを襲った。肥大した意識野からの浅ましいフィードバックをこらえ、黒の天
使は言語命令を解き放つ。
最強にして最大の大技。祖父をおそった魔人さえ畏怖せしめた、殺しの鬼手。
「滅――砕――‥‥」
「さらにツメも甘い。ほとほと、ぬるいですわ」
「なっ!!」
顔も上げぬまま、玄乃の大鎌『均しき恩寵グリム・リーパー』から触手が奔った。
重い感触が足首にからまり、天使は地上に引きずり落とされた。背を強打し、集中を失う。
鴻神いりすをとらえた混濁の触手があっというまにとぐろを巻いて踵から這い登ってくる。
粘液でねちゃりと太ももを汚され、バイザーの奥で天使の瞳が悩ましくゆがむ。
「う、んッ、嘘よ‥‥あなた、擬装手は補助的にしか、防御にしか」
「使えないなど、誰が、いつ口にしたのですか?」
くすくす口をおおう玄乃の前に引き倒されたいりすは、みるみるカラダを縛りあげてくる
触手にあらがっていた。へばりつく縛めを擬装手で引きちぎり、断ち、手足で蹴りはがす。
ほんの一瞬包囲がゆるんだチャンスに飛びのく‥‥
その足が大きくもつれた。
死神の擬装手が引き裂いたスカートの長い裾に足をとられ、ぶざまに転倒したのだ。
「くっ、こんな時に」
「油断、過信、未熟な思いこみ。すべからく嘆かわしい。戦闘者としての資質を疑います」
玄乃の侮蔑さえ、いりすの耳には届かない。
圧倒的な量の触手を払いきれず、悔しげな天使の肢体が雪崩をうった触手の海に飲み込ま
れていく。両足を縛りあげられて逃亡も封じられ、手首はおろか指先まで縄掛けを施され
‥‥四肢を吊りあげられた時、鴻神いりすは完璧なX字型の磔に処せられてしまっていた。
宙空に懸けられた、淫らなる十字架上の緊縛天使。
いまや無力にスカートの中をまさぐられ、生地ごしの胸に嫌な匂いのする粘液を吐きかけ
られる黒の天使は、蠢く触手を恨めしげに見下ろすほかない。シードの酷使でいやらしく
爛れきって不自由にのたうつカラダに、濃厚な触手のペッティングがほどこされていく。
擬装手で反撃しようにも、快楽にのまれた意識では集中できないのだ。
「んグ、あ、嫌ァァ‥‥ンン」
「くすっ、エッチな鳴き声だこと。かわいらしいくらい敏感な天使ですね」
呟く司宮玄乃は笑っていなかった。
らんらんと輝く瞳を塗りこめるは、ありあまる苛立ちと憎悪。
「『特性』を隠したまま私に勝てるとお思いでしたか。つくづく‥‥つくづく、つくづく」
ギリ、と歯軋り。
とたん、磔の裸身を昂ぶらせていた触手の縄目が変化した。
甘美な愛撫から一転、棘だったささくれを天使の美肌につきたて、ズルズルひっかきだす。
いりすの瞳がバイザーの下で見開かれた。
「――つくづく、ナメられたものです。あれほど言ったはず。本気を見せろと」
「ひぁ、ひぁァ‥‥イヤァァ」
「今すぐ貴女のクレッセント・シードが持つ『特性』を見せなさい、黒の天使。さもなく
ば、この場で嬲り犯し曝して解体バラすのみ」
「痛っ、ひグぅ‥‥痛い、ぅン、んんんンッ、おかしくなっちゃ‥‥」
玄乃の脅しははたして届いていたか。
甘美な痛みにたまらず喉をふりしぼり、天使は淫らな声をあふれさせていた。全身をみし
みし軋ませ、残酷な愛撫から逃れようと腰をグラインドさせてのびあがる。
気丈さも、決意も、なんの役にも立たなかった。
むせかえるような粘液に裸身を汚され、乳房を根元から絞られて洩らす嬌声はとめどない。
痛みの一方で、とどめようもなく火照った躯の輪郭にそって絞りあげた触手はわざとスカ
ートを破いて侵入し、ショーツの上から粘液で汚しつつ、ふにふにと恥丘を揉みほぐす。
「し、知らない。『特性』なんて、ンッ、はぁンっ、ダメェ‥‥」
「この期に及んで戯言を」
幼い顔に似つかぬ賢しげな表情で、玄乃は囚われの天使をねめつけた。
「試作シード7基はそれぞれ固有の特殊能力を備えているはず。物理法則さえ曲げる圧倒
的なアドバンス――それこそ最強の兵器たる所以。改造を重ねた私の『均しき恩寵グリム・リーパー』でも
届かぬ境地」
「そっ、そんな‥‥能力がシードに‥‥?」
ふと、本社を襲った指環の青年が脳裏をよぎった。いりすの攻撃を無効化した未知の力。
あれが『特性』なのだろうか。とすれば、いりす自身のシードにも何か力が‥‥?
だが。
「その必殺技さえ出し惜しみ、あげく凌辱に溺れ‥‥貴女にはお仕置きが必要ですね」
「!?」
次の瞬間、みっちり発育した黒の天使の肢体が反り返っていた。
雁字搦めに裸身を嬲りつくす擬装手がぞぶぞぶと液化し、皮膚の下に侵入し始めたのだ。
愛撫とはまるで違う、神経からダイレクトに流しこまれる灼け爛れた疼き。ぶるぶるっと
激しくわなないた天使のカラダが、痙攣の狂おしい愉悦にねじれかえった。
息をのみ、肌という肌を覆いつくす快感にもはやカラダをコントロールできないのだ。
「なっ‥‥し、神経に、カラダの中に入って‥‥んクぅ!!」
本能が危険を告げていた。
この攻撃は、理性をかき消すほどの淫靡な電撃は、完膚なき敗北を黒の天使にもたらす。
(使用者を気絶させるか、G3を奪うか――)
いつかの平良樹里の説明が脳をよぎっていた。このままイカされてしまったら間違いなく
気絶してしまう。シードを奪われ、凌辱され、おそらくは殺されてしまうのだ‥‥
無意識のうちに、いりすの変成意識野は防御反応をシードに命じていた。シードが発光し、
たえがたい疼きがぐんぐん高まり‥‥そして唐突に、霧散した。
薄笑いを浮かべていた玄乃がかすかに顔を引き締める。
「‥‥意外にできますね。神経侵入ジャックインを拒むとは、どうしてどうして流石はシードの使い手」
「い、いつもいつも、あなたの自由になるとは限らないのよ」
下半身を、乳房を触手に玩ばれながら、上気した頬できっといりすが睨みつける。欲情に
ひくつき汗ばむ姿とその表情には滑稽な隔たりがあった。
「くすくす、たしかに今の手際の良さは評価して差しあげます。まぁまぁでしたわ」
「これが‥‥あなたの『特性』だっていうの」
自由を奪われた肢体にねっとり絡みつくジェル状の触手に目を落とし、黒の天使が問う。
かろうじて均衡を保ったそのカラダは、しかし狂おしい愉悦を抑えこんでいた。
全身の毛穴が開きそうな触手同士の淫らなあらそい。シードと一体化して肌を覆っていた
微細な擬装手は玄乃の介入をギリギリでふせいでいた。だが、蹂躙されつくしたカラダは
表皮深くまで灼けただれ、緊めつける触手に軽くなぞられただけで気も遠のきそうな衝撃
が神経をむしばんでくる。
「まさか。言うなればこれは通常技ですわ。コマンド不要、ボタン一押し」
優雅にほほえむ司宮玄乃の台詞
ゲーム感覚で人を嬲り、もてあそび、おそらくはためらいもなく人を殺す。そんな集団が
違法G3を悪用し、お爺さまの会社を襲撃したというのか‥‥
「ふざけ‥‥る、な」
ふつふつ湧きあがる気力が、怒りが、被虐の海に溺れていた鴻神いりすを支えだしていた。
幾重にも触手に埋めつくされた左手のシードが、ふたたび鈍く輝きだす。
「必殺技とやら。出してみればいいじゃないの。私は‥‥まだ、負けてなんかいないわ」
「では、貴女のその思いあがりに敬意を表して、1フレームからお相手いたしましょう。
「‥‥」
「存分に、嬲りつくして差し上げます」
玄乃の吊りあがった目が、初めて、細く敵意にきらめいた。
明らかに陥落寸前の相手だとみなして得々とした講釈。それを聞き流し、ひたすら天使は
気力を溜めていた。全身をこわばらせ、息をつめ、縛めを解くための鍵を探して‥‥
シードにしかできない、攻撃を‥‥
「グラップル・フィーラーの戦闘の真髄は単純な敵の殲滅にあらず――敵の、凌辱にこそ
あり。すなわち蹂躙こそ屈従こそ隷属こそ最大の戦果なり」
にたり、と。
歪な笑みが、死神の唇を彩る。
だが、その上をいく獰悪な笑みが、黒の天使をきわだたせた。


「そう、蹂躙・・ね――なら、私の必殺技でためしてみなさいよ、『疾 駆 単 騎クリムゾンアクセル』」

                                (続く)


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