Fool in Love 〜バカラブ〜 後編

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 ひさしぶりの、うん、本当にひさしぶりの彼の唇。こんな時にまでやけにつつしみ深い。
焦らすように唇の柔らかいところだけをついばんで、少しづつ、うなじへとずれていく。
「ンッ」
 思わず鼻声をもらして私は彼の唇を追っていた。純の首に腕をからめ、カラダを預けて
強引に唇を這わせていく。ふたたび唇と唇がかさなりあい、やがて、舌が私の口腔に侵入
してきた。前歯をくすぐり、楽しむように私の舌をくすぐっては逃げる。
 とくんとくんと飲み下す彼の唾液が、カラダの芯をつうっと熱く灼きはじめていく。
「‥‥積極的だね、今日の玲子は」
「たまには‥‥ん、ふ」
 彼の手が、するすると器用に私の服を脱がしていく。男の人に脱がされていくこの一瞬、
いつだってたまらなくドキドキする。受け入れるのは、抱かれたい心のあらわれだから。
すでにうっすら桜色に色づく肌に純が指を這わせ、爪を立て、甘やかになぞりたてた。
「ッ、はっン、くぅ‥‥純こそ、荒々しいよ」
「興奮、してっから、な」
 ホックを外され、ブラがはらりとベットに落ちるかたわらで、私は両足を持ち上げられ
ショーツを脱がされていた。熱気に汗ばむ肌を彼のたくましい腕がしっかり支える。躯を
流したかったけれど、それさえもどかしいほど私の気分は昂ぶっていた。
「ね、シャワー使わせて‥‥」
「ダ〜メ。お前だって、この方が好きなくせに」
「純ったら、いじわるだァ」
 いつものやりとり。
 膝のあたりにショーツをひっかけ、ギシリとスプリングをたわませて純がのしかかって
きた。ひっかかったショーツのせいで逃げるに逃げられない私を、彼の手が上からベット
に沈み込ませる。手早く脱いだあらわな上半身が汗ばんでいて、なんだか眩しい感じ。
 雄々しい体臭が、私の神経をゾクゾク震わせている。
「約束、だから‥‥玲子に、手錠、かけるからな。縛らせて、もらうよ」
「わ、わざわざ繰り返すなってばぁ」
 抗議する自分の声にヴィヴラートがかかっているのは、怖れからか陶酔からか。わざと
お股の間にふみこむ彼の下半身が、チノパンごしにもくっきり浮き出て勃っているのだ。
太ももにすれるたび、そのこわばり方の激しさに驚く。
 私が手錠するだけで、そんなに、興奮しちゃうんだ‥‥
「ね、そんなに‥‥嬉しいの?」
「あぁ。夢みたいなものだから、こういうのって。さ、手をそろえて前に出して」
 おずおずと手首をさしだすと、純はふわふわしたファーで巻かれた腕輪のようなものを
とりだした。鎖で繋がってるけど、なんかイメージと全然違う。それを優しく巻かれて、
でもベルトをキッチリ締めると私の手はとたんに不自由になってしまった。
 フフ、フフフ‥‥低い声で純が嬉しげに笑う。
「玲子かわいいよ。怯えた目のお前って、けっこう新鮮かも」
「‥‥!」
 むっとして、見つめ返して、でも、なんかダメ。
 ほんのささいな拘束なのに、純の視線が怖い。不自由なハダカを眺められるのが怖い。
‥‥何をされるか、期待してしまう自分が、怖い。
 これ見よがしにチノパンを脱ぎ、トランクスを彼が脱ぎさった。やっぱり、予想通り、
信じられないほど窮屈そうにお腹の方に向かってオチンチンがそそり立っている。
「触って。俺を感じさせて」
 低い声。ゾクゾクする。不自由な手首をひねり、下腹部に息づく彼のモノに指を絡めた。
同時に、私の背中をだきとめた純がそっと横たわらせ、自分も横になって私の胸やお尻に
指を這わせだす。
「2人で、指だけでするんだよ。いいだろう」
「ヤダ、ヤダァ‥‥ッはぁァン!」
 恥ずかしくて首を振りかけ、つぅんと突き抜けたしびれにはしたなく喘ぎをこぼした。
やわやわと彼の指が胸をまさぐり、乳首を指の腹で揉み潰したのだ。痛がゆい刺激がジン
ジンつたわり、ぶるぶるっと上体をふるわせる。
「玲子も、俺のをいじってくれよ」
「う、うん」
 自分が自分じゃないみたいに素直な声が出た。拘束されちゃって、自由を奪われて、だ
からだろうか。脈打つ男性自身を指で練りこみ、シャフトにそってゆるゆる這わせていく。
はしたない行為を強要させられて、カァァッと肌が熱く爛れだすみたいだ。 
 見つめあう純の顔が近づいて、どちらともなく、唇が粘りつくようなキスを与えあう。 
 インランな前戯だった。
 しっかりと唇を奪われ、長々と唾液を攪拌しあってむさぼりながら、相手の裸身を指で
もてあそび、なぐさめあう。のしかかられて、しかも手錠なんか嵌められて、ギンギンに
興奮しきった純に押さえつけられた私は息を継ぐ間もない。
 オッパイをふるふると揺すり、もみ、くにくにとたわませる手に、ただただ鼻で嬌声を
こぼしてはふぅふぅ荒い息をつくばかりなのだ。
 じっとりとアソコがしめっていく。下腹部がとろりと渦巻き、熱をはらんだ。
 すかさず純の手が、するりと私の下腹部に伸びた。あっと腰を引きかけたけれど、彼の
モノをつかんでいて逃げきれない。お尻の谷間に後ろから指をひっかけられ、文字どおり
背中が弓ぞりにそりかえった。
「ひぃァ‥‥んぁ、ハッ、ァ、んんんンムム」
「‥‥」
 男らしい喘ぎは殺し、純の両手が、今度こそ私の下半身を制圧にきた。あっという間に
オツユのしたたるクレヴァスを、お尻の肉を、暴虐な男性の指づかいで拡げられ、揉まれ、
凌辱されていく。あまりの激しさに息が止まり、目が焦点を失った。あの、つつしみ深い
純の手とは到底思えぬ荒々しい手に私の裸身は蹂躙されていく。
 メチャクチャにされ、嬲られて‥‥そして、どうしようもなく感じてしまっているのだ。
 レイプのような恋人の愛撫。
 われを忘れた無軌道なペッティング。
 悲鳴も、嬌声も、快感も、すべてが唇を奪われたまま、昂ぶる刺激となって飲まされる
唾液とともに、絡めとられた舌の支配権とともに、私の中に逆流してくるのだ。
 たまらなかった。
 無我夢中で彼のモノをさすりしごきたて、爪さえ立ててしがみつき、もどかしい両足を
ぎゅっと彼の足に絡みつかせる。ももを伝った生乾きの愛液が、彼の太ももに何度となく
なすりつけられた。それでも、私の股間を制圧した彼の両手は意地汚くぐりぐりと蠢き、
指でくつろげた女のとばりを内側からひっかきながら反対の手でお尻の谷間、後ろのすぼ
まりにまで指を這わせるのだ。つぷりと指の先が菊花のヒダをつついた。
「‥‥‥‥‥‥っっっ!!」
 相変わらずキスで封じられ喋る自由を奪われたまま、排泄の嫌悪感に見開いてしまう。 
前と後ろからの同時責めに、カラダの芯がどぷっとあふれ出すのがわかった。思わず爪を
カリの裏側にたててしまい、彼のモノがビクビクッと激しくわななく。
 長い長いキスを終え、ようやく彼が私を解放する。
「ひ‥‥うふ、ぁぁ」
「くぁ‥‥そろそろ、俺も、玲子も、限界かな‥‥い、入れる、ぞ‥‥」
「ン‥‥」
 息が乱れ、上手く喋れずにコクンと頷き。それで通じたようだった。
 はぁはぁと息をつぐ私の頬をいとおしげに指の背でなで、下半身を浮かせた純のカラダ
が私のクレヴァスにあてがわれた。にち、にちと音をたて、挿れられ慣れた脈打つ砲身が
私の中へねじり入ってくる。いつもより何倍もの硬度と、反りを誇りながら。
「じゅ、純が‥‥すご、みりみり、感じる‥‥」
「ク、玲子こそ‥‥キツ、初めてだ、こんな‥‥」
 呻きはめくるめく肉の交わりと、ほとばしり裸身の外へ流れゆく快楽と表裏一体のもの。
欠けたるパーツが埋まるかのように濡れそぼったクレヴァスのヒダのヒダをかきわけて、
ようやく彼が根元までみっしりとオチンチンを私の中にうずめていた。
 喉がひぃひぃとむせぶ。のしかかられ、厚い胸板に押しつぶされた乳首がヒリヒリ疼く。
行き場のない手錠の両手はバンザイしたまま、彼に腕を回せないもどかしさがそのまま、
セックスをコントロールできない不安感をあおりたてて‥‥
「うご、動くぞ‥‥クッ」
 ギシギシッッっとベットがたわみ、密着した裸体がひわいによじれあった。一突きごと
に今までないほどの快感が子宮の底辺りからわきだして頭頂まですっとんでいく。全身を
おおいつくす悦びの波は、だらしなく私の口を開かせ、あっけないほど喘ぎをうみだした。
「んぁ、ひン、つく、つぅ、突かれて変に、っ、なっちゃ‥‥」
「‥‥」
 パァンパァンと小気味いいほどの肉音が弾ぜて長いストロークの抽送がくりかえされる。
しっぽり愛液でしたたったクレヴァスをぐにぐにと歪ませ、下腹部から抉りぬくように。
私が、私でいられたのは、たぶん、ほんのわずかの間。
 後はただ、刺激に飲み込まれ、翻弄され、がむしゃらに純にカラダをおしつけて。
 手錠をかけられた手首をぎゅうと握りしめ、空おそろしいような衝撃に追い上げられて。
「イク、いくぞ、玲子、中に、いいな‥‥!?」
「やぁぁぁ、イクゥゥ、イッちゃうってばぁ‥‥‥‥‥‥ッ!!」
 ほとんどケモノじみた歓喜の波を叩きつけるみたいに口からほとばしらせ、よがり狂う
裸身をぎゅううっと純に抱きすくめられて悶えながら、私は軽々と頂をつきぬけていた。
呪縛を離れた裸身がエクスタシーの極みに向かって、一直線に駆け上がっていく。
 ぎゅうっと下半身全体で彼を咥えこみ、爛れたヒダを蠢かせ、ひたすらに絞りつくして
‥‥‥‥それこそ、わななく痙攣に言葉さえ失って、私は絶頂に昇りつめていった。
 かすかな自尊心をにじませた彼の顔がふとゆがみ、おびたただしい量の白濁が私の膣へ
ぶちまけられていく。
 それさえも気持ちイイと感じてしまうほど、私の中は痙攣しきっていて‥‥
 あんな風にイッったのは、彼とするようになって、初めてだった。


                ‥‥‥‥‥‥‥‥


 余韻が、カラダの中をぐるぐる渦のように、波のように、うねり狂っている。じんじん
痺れるセックスの快楽に呆けていると、横になっていた純が、そっと口を開いた。
 あくまで優しく‥‥
 そっと、私をいたわるかのように、言葉をつむいで‥‥
「そういやさぁ、玲子はボキャブラ天国って昔の番組、知っている?」
「は?」
 ‥‥純は、やっぱり純だった。
 甘いセリフ、期待した私がバカだったですか。
 ていうかイブのエッチでイッちゃった彼女にかける最初のセリフがそれかよ。
 でも、怒る気力もつっこむ気力もあんまりなくて、私は放心して彼を見つめている。
「あれって丸いマトリクスの上下左右で“バカ”と“渋い”、“知的”と“インパクト”
なんてギャグを分類するんだけど、同じように恋愛が分類できるなら、俺らってはっきり
バカラブだと思うわけ。それが、多分俺らのシアワセ感の基本なんだよ」
「‥‥バカラブ、ねぇ。それって、対立軸は?」
 ちょっとだけ興味に駆られ、私も話に乗ってみる。
「そうだなぁ。バカとシリアス、ラブの反対は欲望、とかかな」
 一緒になって私も想像してみた。恋愛っていろんな形がある。シリアスで欲望が基本、
でもラブじゃない、そう例えば不倫のような、ちょっと泥沼っぽい関係とか、いろいろ
‥‥そう考えると、うん。たしかに。
「悪くないわ、私たち。ね」
「だろ?」
 嬉しそうに純は笑った。
「ケンカしてもひどい後は引かないし、お互い言いたいコト言い合って」
「ふふ、ラブラブだ」
 そう。幸せなんだろうなぁと思う。
 セックスのプレイ一つで怒ったり笑ったり、それでも案外幸せなものだから。
「メリークリスマス、純。来年も、一緒にいられるといいね」
「何言ってんだ。一緒にいるさ。きっとな」
「それに」
 彼の耳たぶにほほを寄せ、一言。
「私、ソフトSMにはまっちゃったみたいだよ、純」
「ま、マジで!?」
 喜んでいるんだろう、彼の声が情けないほど裏返る。
 そんな単純な表情さえ、思わず笑み崩れてしまうほどいとおしくて。
 肌をくっつけあっての睦言は、どこまでもスイートで、やはり少しバカっぽかった。

                                  (了)


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