仮宿 その4

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 とろりと粘ったいしずくが、葉村の指先からあふれ、したたっていく。
 どうしようもない女の屈服の余韻。まぎれもなく私のカラダで奏でられたものなのだ。
動悸が昂ぶり、トクトクと暖かな思いが脈を打つ。こんなにもイイのに。でも負けたくな
い。喘ぎをひきだされたくない。だから声を押さえつけ、締まりのない唇をしぼり、上気
した頬をシーツにうずめる。
「ふふッ、かわいいよ。文香。女の子してる」
「ン、んんーっ!」
「ほら。感じてるって、きちんと言葉にしてみなよ」
「っひ、んふぅ、待っ」
 こりこりっとまさぐる指先のいやらしいこと。
 私のガードなんかおかまいなしで、どんどん感じるところを犯してくる。じゅくじゅく
疼いて収縮するそこを探索され、悦びをかきだされる。姦されていく。
「もう一回キスしようか。ね、文香」
「ん。うん、ン‥‥」
 快楽に流され、泥沼にはまっていく。
 空いた手でおとがいをつままれ、またしても葉村主導の荒々しいディープキス。力づく
で腰を抱きしめられ、濡れそぼる口内と下半身、両方のしずくを同時に吸い上げられる。
ブリッジに背中が反り、ぼふっとシーツに沈んだ。
「反応、いいね。虐めがいがある」
「‥‥む」 
 軽く息をはずませる葉村のセリフでスイッチが入った。
 エッチな攻撃で翻弄するつもりが、今のところ、良いように葉村に操られっぱなしだ。
ムリヤリ煽られるのも嫌いじゃないけど、正直、面白くはない。
 ニヤついている彼をにらみつけ、もそもそ胸板の下にもぐりこんだ私は、無防備な彼の
乳首をぺろりと舐め上げた。
「ギャッ」
 あんまりな悲鳴がわきあがり、自然とほくそえむ。そうそう、やっぱりこうじゃないと、
私のイメージにある葉村君の雰囲気じゃない。
「な、なな、なに舐めてんだ、おまえはっっ」
「葉村君の乳首」
 にっこり微笑んで彼の体をぎうっと引きよせ、ペロンともう一度乳首をねぶる。同時に
逃げられないよう太ももでギュッと彼の足をはさみとり、思わせぶりに腰をすりつける。
ゲェとつぶれた声は、押し殺した快感があからさまで逆に可愛らしかった。
「な、なんでそんなトコ舐めてんの。よせって‥‥おわひゃ」
「んっ、男の人もココ性感帯だって聞いたよ。舐められるの初めてなの?」
「な、なにで聞いたんだ‥‥ック」
 そらぞらしく訊ねながら、今度はカプッと甘噛みする。効果は抜群だった。ムクムクと
彼の下半身が硬度を増していくのが、トランクス越しに分かるのだ。男の子のカラダって
同じようでも全然違うんだ‥‥敏感な彼の反応に嬉しくなり、夢中になって舌先で乳首を
いじりまわす。
「こ、こらぁ、文香‥‥」
「いいからじっとしてて。今は私の番だから」
「私の番って、おいおい」
「葉村君をいじめて、気持ちよくさせる番。とりあえず裸になってね」
 ようやく暴れるのをやめた彼の胸板にしがみつき、くるりと馬乗りになる。柔らかく舌
で乳首を刺激しつづけつつ、ずるりとトランクスを剥き下ろした。雄々しい男性のカラダ
が跳ねあがる。グロテスクな姿に小さく息を呑み、カサの部分に手を這わせた。
 微妙なタッチで触れると、私の手の中でソレはビクンと震えた。
 きつくもわっとした男性の性臭が鼻をつきあげる。
 快感をこらえつつ、彼は手を伸ばして私のカラダをなぶりにきた。いきなり乳首だけを
つまんではぐいと引き、執拗にねちっこく揉みほぐす。甘痒い痛みとしびれがピリピリと
乳房を伝わり、たまらずに背筋がよじれかえった。
「ンく」
「くぅ‥‥ぁァン」
 2人して喘ぎをもらしかけ、懸命に踏みとどまる。私も彼も感じるのを我慢しながら、
先に相手からいやらしい反応を引き出そうとしているのだ。カラダ全体が桜色に染まり、
焦らされて燃え上がってゆく。どんなエッチなことでも彼のためにしてあげたい。淫靡に
染まった気分は、もう歯止めが効かない。
 うるみがちの瞳を見開いて、私は甘く葉村に囁きかけた。
「ねぇ‥‥フェラチオ、して欲しい? あとで、キスできなくなっちゃうからイヤ?」
「フェ、フェラチオだって?」
 言うと同時に、彼の分身が私の手の中でギインと反り返った。露骨すぎる反応を目の当
たりにして、ゾクリと危険な欲望のさざなみが体を駆け下っていく。
「いいの? だって、普通ありえねー。NGじゃないの?」
「ありえるわ。それとも、されるのはイヤ?」
「ま、まさか‥‥」
 彼の言葉をさえぎって、移動した私は股間に顔をうずめた。赤黒い彼の分身を優しく指
であやし、舌先でちろちろと突く。そのまま上目づかいに彼の顔を見つめつつ、私はゆっ
くり唇を這わせ、彼のモノを飲み込んでいった。
「うっ、うぁぁ」
 今度こそ、歯を食いしばった彼ははっきり男の子の喘ぎ声をたてた。耳にした嬉しさに
カラダが跳ねる。葉村君が感じてくれている‥それが嬉しくて、私はそうっと舌で輪郭を
なぞり、太いシャフトのラインにそって唇を這わせていった。
 むせ返る男の子の匂いと、デロンとした濃い先走りのしずくが喉を焼く。
 私だって、初めは苦手だった。けど、祐司に好かれたい一心でフェラチオできるように
なったのだ。祐司の反応はいまいちだったけど、こうして喜んでくれる人もいる。
「ん、んぷっ」
「うん‥‥そう、その辺、裏側のそこ‥‥いいよ、すごく気持ちイイ」
 顔にかかる前髪を手で払い、しっかり左手を添えて彼のモノを何度でも唇で往復する。
深いストロークはいまだに苦手だが、舌全体を使ってエラの張ったカサの裏側をくすぐり、
脈打つ血管に沿ってヨダレを這わせていく。ジュブジュブ淫らな音が響き、あまりのいや
らしさに頭のどこかが焼ききれそうなほど疼いた。しゃぶるたびにヒクヒクと反りかえる
シャフトの痙攣が、彼の感じる場所をはっきり伝えてくれる。
「すげー、AVみたいだよー。マジでメチャメチャ楽しいんスけど。お前、大胆だなぁ」
「ん、んふっ‥‥ぬぷ」
 しっかり咥えこんだまま微笑むと、唇の端から唾液混じりのほの白い泡があふれでた。
見ていた彼の目がギラッと欲望に輝く。口の中のシャフトも深々と反りかえる。男の子は、
こういう風に女の子を支配するのが大好きなのだ。
 触るものもない下半身が焦れ、腰が勝手にうねっていた。静かにカラダが濡れていく。
 と、不意に彼が私の腰をつかんで抱き上げ、ぐるりと180度回転させた。
「んふーーーッ」
「フェラチオをやめないで。俺も、文香を慰めてやるから」
 そう囁く彼の吐息が、もっとも敏感な下腹部のとば口にかかるのだ。私の淫らな下半身、
その両足のつけ根に近々と顔を寄せ、彼が私のすべてを覗き込んでいる。ぎうっとお尻の
肉をつかまれて、飛び上がりそうになった。
 恥ずかしい‥‥忘れていたはずの羞恥の感覚が、私の心を灼きつくす。
「動くなってば。べとべとに濡らしているんだから、顔中濡れちゃうだろう?」
「んーーー」
 意地悪を言われて抗議しかける私の頭を、彼が優しく、けれど断固として下へ押し込む。
「いいから続けて。俺も舐めてやるってば」
 ジュル‥‥
 湿った響き以上に、濡れて蠢く内壁をえぐった舌先は容赦なかった。
 息がつまり腰がガクガク弾む。気持ちが良すぎて怖いくらい。逃げたくて腰をねじった
が、がっちりお尻に食い込んだ彼の腕はたくましく、かえって大事なクレヴァスを彼の顔
に押しつけることになった。色づく肉の空洞をくすぐられて、激しい快楽がほとばしる。
 彼の行為をゆるめようと、私も唇をすぼめてさらに丁寧に彼自身をしゃぶりはじめた。
「ん‥‥なぁ、文香ってさぁ、意外に小さいな」
「‥‥!」
 クレヴァスの上部、薄皮に包まれたポイントを剥きあげられてギクッとする。心の準備
さえ追いつかぬうちに、固く充血したソコをパチンと指で弾かれていた。
 下半身を、つややかな快楽の電撃が走り抜ける。
「ンギ‥‥ィ」
 一瞬で頭が白くなり、快感に意識が押し流されていく。
 汗まみれのカラダをよじらせて、私は軽い絶頂に達していた。ぞわぞわと子宮のあたり
が渦を巻いてヒリつき疼く。タプタプと潤滑油が流れだし、彼の頬を汚していく。
「ハハッ、すごい感じようなんだ。かわいいよ、文香」
「うぅぅ」
 やけになった私は、無我夢中で彼を責めたてていった。カサになって筋の裏側をなぞり、
軽く歯を立ててエラの内側をこする。思いきり水音をたてて唇を往復させると、どうにか
持ちこたえていた彼も、終焉の近さを告げてブルブルッと大きく痙攣しはじめた。
「このまま出しちゃっても、その‥‥いいかい」
「ん」
 こっくり頷き、さっきよりも強めにカリの部分に歯を立てる。
 ほとんど同時に、一度反りかえったシャフトはすさまじい勢いで暴発した。噴きあげる
白濁が喉を叩き、激しくむせこんでしまう。
「あっ、すまない‥‥大丈夫か」
「‥‥」
 不安そうな彼を制して、コクンと喉を鳴らした私はチロッと舌を出してみせた。ねばぁ
っと白く汚れてしまった口まわりに指を這わせ、汁を舐めとってみせる。
「今、私にキスする勇気ある?」
「当然あるって」
 即座に答えた彼は、軽く唇を触れ合わせたあと、顔をしかめて困り顔をみせた。
「本音を言や、ディープキスするのは怖いからカンベンな」
「正直ね」
 クスクス2人で笑う。

                   ☆

 すでに、横たわった私のカラダは十分に潤っていた。向きあう彼の方もそれは同じで、
出したばかりだと言うのに彼のソレは雄々しい角度で色づき、反り返っている。
「来て」
「あぁ‥‥」
 頷いた葉村が、私の腰をつかんで先端をあてがう。にちっと扉をこじ開けられる感触に、
私は赤くなっていた。思っていた以上に太く、張り出したカサが縁を刺激してくるのだ。
 私の顔色を読み取ったのだろう。彼は一瞬待って、それからぐいと私を貫いた。
「ンッ‥‥んく、いぅぅ」
 ミチミチッと濡れた隔壁を割り拡げてれ、喘ぎが止まらない。べとべとにしたたる雫の
せいでそれほどの抵抗もなく、脈打つシャフトがじわじわ私の中に埋まっていく。
 深々と骨盤の根元まで挿入し、お尻が密着した状態で、葉村は動きを止めた。ふぅっと
長いため息を吐いて、しっかり私の背を抱き寄せる。ぴったりくっついた肉厚の胸から、
ぬくもりと鼓動が伝わってくる。
「すごいよ‥‥文香のなか、気持ちイイな」
「やだァ、ん、んンンッッッ」
「なんだい?」
「な、なんか‥‥身体の相性が‥‥ヒァッ」
 冗談でも、お世辞でもなかった。彼のカタチを受け入れた私の下腹部が、波打つように
ドロドロ溶け崩れていくのだ。奥深くまでしっかり貫かれ、一体となる感覚がすさまじい。
苦しいわけもないのに、喘ぎを求めてハァハァ口が半開きになってしまう。
 躯が、ひとりでに熱く疼いているのだ。
 なんで‥‥こんな、挿れられただけでこんな感じちゃうなんてあるのかな‥‥
 ペッティングしあっている時から、なんとなく気づいてはいた。たぶん、私と葉村とは
カラダの相性がいいんだろう。けど。普通ここまで狂ってしまうだろうか。
「あ、おい」
「んッ、ひぅぅ‥‥」
 ぎうっと両足をからめて、彼の腰に思いきり抱きつく。そうでもしないと、カラダごと
どこかに飛んでいってしまいそうなのだ。だから、しゃにむに彼にしがみつく。
 怪訝そうだった葉村の表情は、ゆっくり獣じみた笑いに変わっていった。
「そっか、気持ちイイんだね。怯えるくらい」
「くぅ、んふっ」
 軽く腰を揺すられただけで、ぞわぞわ彼を咥えこんだヒダが蠕動し、私は狂ったように
身震いした。カラダがとめどなく快楽を貪ってしまう。自分が自分でなくなる‥‥そんな
経験は、今まで一度もなかった。
 やだ。やめて。もう少し、動かないで。今されたら、きっと狂っちゃう‥‥
「動くぞ。いいな」
「ま、待っ‥‥ひぁァ」 
 訴えかけた声が、彼がゆっくり腰を動かし始めた途端なまめかしい喘ぎにすりかわって
しまう。ズプッ、ズプッっという響きは聞いていられないほどいやらしく、一突きごとに
戻っていく彼自身にしがみつこうと蠢くヒダの感触がひどく悩ましかった。
「あぅっ、んんンッ」
 ずんずん突きこまれながらタプンと胸をいじられ、腰の引けた変な姿でカラダを丸めて
しまう。みっちり熱いシャフトを埋め込まれ、串刺しにされて逃れようもないのに。
「ふっ、ふうぅっ」
 断続的な喘ぎと呼吸が室内にしみわたっていく。
 ミチミチッと軋むカリの太い部分が私の入り口に引っかかり、ビクビクンと私の裸身を
のたうたせる。恥ずかしいぐらい正直に躯が反応してしまうのは悔しく、またたまらない
快感にあおられていくのだ。
「ねぇ、怒ったらゴメン。でも文香って、すごい名器だとか言われない? 反応、なんか
すさまじいんですけど。俺だから?」
 ズンッ、ズンッ‥‥
 少しづつピッチを早めながら、葉村が感心しきった口調で訊ねてくる。返事しようと口
を開けては見たものの、たらーっと涎が垂れかけて、あわてて私は口を押さえた。横たわ
ったベットの上で恥ずかしさに顔をよじる。
「かわいいんだ、文香って。普段クールだからさ、余計エッチしがいがあるね」
 ふにゃふにゃ歪む口に力を込め、私はようやく声を絞りだした。
「なによぅ、自分だってエロ親父のくせして」
「あはははは、違いない」
 パァンパァンと腰を弾ませながら、葉村がおかしそうに笑う。
 その葉村の顔に、ふとしかめ面の祐司が重なった。最初は嬉しげだった彼が、色々試す
うち、しだいに不機嫌になっていった様子を思いだす。思えば、祐司はありのままの自分
に満足してくれない私を見て、不愉快を感じるようになったのだろうか‥‥
 心のタガがゆるんでいたらしい。つうと一粒、涙がこぼれおちる。
「どうした?」
「いいの、ゴメ‥‥その、つい思い出して」
 揺すられ、腰を使いながらろれつのまわらぬ舌で謝ると、彼の目がすうっと細まった。
「祐司のことなら、俺が忘れさせてやるよ」
「は、葉村く‥‥んんンッ!」
「もっと感じて、ドロドロになっちまえって。あんな阿呆のこと忘れろって」
 不意に、柔らかかった彼の動きが乱暴になった。
 ドスドスと彼が突き上げ、一気に官能の渦に叩き込まれていく。溺れる者のように息が
満足にできない。めくるめく快楽の火が下半身から噴きあがり、うなじまで灼きつくして
いく。自分がどんな姿勢をとっているかさえ分からないのだ。
 ねちっこく、貪婪に彼の肉を食い締める下半身だけが私のすべてを溶かしていく。
「あぅ、あふっ、ん、あわ」
「いいから、溺れろって。俺のことだけ、俺の感触だけを刻み込んでやるからッッ‥‥」
 悲鳴さえ、もはや満足には出せていなかった。ズドンズドンと最奥からのエクスタシー
が意識をなめつくし、たたきつけていく。
「きゃ、あぅ、んんン‥‥ぃぅぅんン‥‥」
 ビクンビクンと肉の塊が痙攣し、気づいたときにはうつぶせで、バックから獣のように
犯されていた。必死になってシーツにしがみつき、ずりずり逃れようとする。喘ぎ声しか
出てこない私のカラダを深々と捕え、杭を嵌め込んだ彼が容赦なく腰を打ちつける。
 つかまれたお尻の肉がヒリヒリと疼き、波のようにたわんでいく。
 灼けただれた快楽の炎が視界をゆがませ、はしたなくヨダレを垂らさせていく。
「そら、イケよ。イッてくれって。あんな奴のこと忘れちまえって!!」
「ひぅぅう、んンぁぁぁァァ‥‥‥‥!!」
 そうして‥‥
 最後の瞬間、獣のような咆哮を上げ、私は背骨が折れるくらいにカラダを反り返らせて
いた。ドクンドクンと男の精をそそぎこまれ、脱力しきった手足をぶるぶる震えさせる。
喘ぐ吐息さえ満足にできないほど、深い深い快楽の証‥‥
われを忘れるようなエクスタシーを、私は葉村から刻み込まれたのだった。

                   ☆

 ヒーターのゴウンゴウンという唸りだけが、ベットにくるまった2人を包んでいる。
「スマン、一度きりだ。俺に、この場で怒らせてくれ」
「なに?」
 腕枕をしてもらいながら問うと、葉村の目がきつくなった。
「祐司はいったい、こんな完璧な女の子のどこが気に入らないんだよ。クールで、時々は
すごくかわいくて、エッチまですごいのに」
「‥‥たぶん、最後のところ」
 ポツンと言うと、彼はあっけにとられていた。その反応にひっそりと笑う。
「私のイメージってさ、けっこう冷たくて清楚な感じでしょう? 似合わないらしいよ」
「‥‥馬鹿か、アイツ」
 そう吐きだした葉村は、しばらく上を向いて黙り込んでいた。
 私も黙って、そっと彼の胸に腕をまわした。裸の胸板がゆっくり上下に動く。私の脇に
抱きしめてくれる人がいる‥‥それを思うと、心が安らぐ。なによりその彼は、入部当時
から私のことを見つめ続けていたらしいのだから。
 いとおしいという気持ちは、じわりと満ちてくる波のように、暖かい。
 目を瞑っていると、葉村が声をかけてきた。
「そのうち、SMプレイでも試してみるかい? 縛っていじめてあげるよ。好きそうだし」
「いやっ‥‥女王様プレイならいいけど」
「ゲ、そいつぁ勘弁な」
 2人して、声を上げて笑う。
「なんか夜食が欲しいかも。コンビニ行かないかい?」
「うん」
 服を身に着けて外に出ると、どこまでも空気は冷たく、澄みきっていた。曇りなく星の
輝く冬の夜空。隣を歩く男の子が、昨日よりもたくましく、頼もしく見える。
 物足りなくなった私は、彼の腰を肘でつんつんとつついた。
「ん」
「なんだい、文香」
「んー」
「なんだ、かわいい反応するんだなぁ」
「‥‥怒るよ?」
 ほほえんで差しだす彼の腕に、体重を預けて腕をからめる。
 身体から始まる恋、なんてありがちなキャッチコピーを口にするつもりはない。
 告白さえしていない2人が、これからどうなるかなんて分からない。
 けれど。
 彼に身体をすりよせ見上げた頭上は、クリスマスイブを予感させる満点の星空だった。

                                  <fin>




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