ロスト アイデンティティ 2

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「‥‥ァァ、ィア‥‥‥‥ッッ!!!」
エクスタシーのはるか向こうへ投げだされ、視界がフラッシュのように眩みだす。
どろりと五感が溶け崩れ、弓なりに狂っていた。
ビィィィンと無情なローターの振動に溺れさせられ、ほとんど瞬間的に堕ちる。
浅ましく器具を咥えこまされたヒダが一瞬にしてぬらぬらになり、あふれだす蜜ごと
前後の穴でみっちり噛みしめる。くるおしい振動をじかに締めつけた直後、全身の細
胞を怒涛の高波が引きずり込み、汚濁の底に没していた。
おなじみの無情な昂ぶりにぞぶりと飲まれ、快感のコントロールなど叶わず、圧倒的
な被虐のエクスタシーが心を打ちのめす。バイブを奥へ引きずりこみ、濡れそぼった
ヒダがざわめきだす。神経が灼きついて、あそこの感触だけで頭がパンパンになって
しまう。
「がッ、あふ‥‥ぅ」
ぎじりと口枷を噛みしめ、唾液をこぼしていた。
リングギャグを嵌められていなければ、思うさま息を吐き嬌声を撒きちらしただろう。
それさえ許されないのがこの緊縛の身。
よがり声を咽ばせ、つきこまれたディルドウを喉全体で絞っていく。
朦朧としてイキ狂っている意識を濁流の中でつなぎとめるかのように、私は自分から
ディルドウをほおばり涎まみれにしてしゃぶりだしていた。
どうしようもない屈辱。従属の惨めさ。溺れまいと懸命にあらがう。
「キッ、い、ひゥ」
それでも気づくと体勢が横向きになっている。瞬間、彼女と私の位置がズレていく。
わけが分からない。アクメの衝撃で気が遠のき、ドロドロと快楽を注ぎこまれてその
間カラダだけが際限なく反応しているのだ。
数秒なのか、数分なのか‥‥それさえ分からぬ無限の煽動。
すでに3回近くは軽々と小さなアクメにのせ上げられ、ぱぁーっと意識が遠のいては
がくりと引き戻されて、もっともっとと大きな渇きを裸身が干上がり刺激をむさぼり、
緊縛でくびりだされた胸を波打たせてよがりつづけている。
無力な躯を痛感させられ‥‥
被虐的なエクスタシーで意識が飛ぶほどに‥‥
さらに貪欲に、貪婪に、きゅうきゅうと女の穴という穴がざわめきだす。
後ろにはたっぷり直腸をふさぐバルーンのような異物を噛みしめ、濡れそぼった前の
ワレメには、過敏な肉芽と広がる肉洞とを同時に愉しませるドルフィン型のバイブを
あてがわれ、膣圧のままに先端のふくらみをきゅうきゅう引きずりこむ。
口枷をつなぐディルドウ状の透明チューブだけではない。
私と彼女は、下腹部さえもレズ用の双頭バイブで連結され、深々と繋がりあっていた
のだ。
きれぎれの意識を、玩具の律動が根こそぎ奪っていく。
びぃぃんという振動以外になにも耳に届かない。狂ったように跳ね、弾み、よじらせ、
下腹部からあふれだす粘っこい雫で太ももをべチョべチョに汚されていく。ぐりっと
腰をひねれば、とたんにお尻の奥に飲みこまされた異物が膨れあがったまま腸内を圧
迫してしまう。
どれだけ力をこめてもかっちり栓をされたバルーンプラグはひりだせず、狂ったよう
に括約筋をこじってひくひくお尻の穴で咀嚼してしまうのだ。その、脂汗のしたたる
ような力みがたまらなく絶望的でくる。キてしまう。
二穴を同時に責められる昏い喜悦。
我慢しようにも、逆に思いきり溺れようにも、あまりに不自由なカラダでできること
など‥‥できることなど、何も、何一つ、ないのだから。
ただ、必死に悦びを飲みくだすだけ。
昇りつめたアクメの先に、さらなる情欲と渇きが待ちかまえていると知っていても、
しゃにむに愉悦の大波をことほぐほかないのだ。
「ひぐ、ン」
縛りあげられた縄目が、くびれる肌が、気持ちイイ‥‥
もがいても、暴れても、どんどんきつく留め縄を緊めあげられていくばかり‥‥
痛々しく縄が食い入って、こんな酷くされて、壊されちゃう‥‥
焼ききれそうな快楽にさいなまれ、かろうじて自由な足の指を、リングギャグを嵌め
られた口腔を、肩先をずりずりとシーツに押しつけて、許容量を超えた快楽を逃そう
と浅ましいあがきをくりかえす。
でも駄目。
みちりみちりと柔肌に食いこんだ縄目が軋み、暴れるほど、抵抗するほど、後ろ手の
縛めをこじるほど、ますます爛れた疼きが広がっていく。
「うぅ‥‥ひぅ、うン」
私の変化を前にして、彼女がおののいていた。
おびえきっていた瞳に奇妙な理解が灯り、みるみる広がっていく。
はっきり色が変わるほど、顔全体を真っ赤にして彼女はのぼせていた。蠢く私の痴態
に魅入ったまま、しきりと肩口でくくられた手首を悶えさせるのが妙になまめかしく、
また牝犬らしい淫らな仕草なのだ。
刺激の激しさに横たわっていられず、下腹部をじぃんと嬲られながら上体をもたげて
狂おしい衝動をやりすごそうとする。ぷくりぷくりと乳房が弾みあい、密着した2人
をさらに上気させる。
見詰め合っているのが苦しくなり、口枷を連結するチューブをたわませて首をねじり
‥‥およそ信じがたい鏡のなかの現実を、またも目に焼き付けてしまう。
信じがたい、でも、淫夢にしては赤裸々しすぎる光景。
卑猥すぎて躯がこわばり、淫蕩に縛りあげられた女体のオブジェに息をつめてしまう。
私も、そして彼女もまた‥‥
吸い寄せられた目を引き剥がすことができない、
くびられた4つの乳房はみっちり甘く熱をはらみ、こすれあう柔らかさに喘いでいた。
ふうふう酸素をおぎなうたび、なまなましく上下に乳房がうねり、密着したカラダを
いやおうなく意識させられる。
私の乳房を圧迫する彼女の胸の先にも冷たいものがあり、私と同じく、辱めの器具で
甘噛みされているだろうと想像できた。
カチン、と小さな金属の音。
乳首を甘噛みするクリップ同士がぶつかりあい、痛みの共振がクラリと脳にはじける。
「ふわぁァ」
「んクッ」
悶えた拍子に額と額がくっつき、鼻枷の金属フックがカチリと冷たくこすれあう。
情熱的な瞳が絡まり、ぐずぐずに堕ちた顔を見つめ合っていた、
動揺したように目を反らされ、朱に染まった表情から自らの惨めさを悟り、かぁっと
羞恥がこみあげる。
他人の瞳に何もかもを曝けだし、いたたまれない恥辱に汚されて、くずれていく羞恥
‥‥それさえもが、もはや堕落の悦びだった。
奴隷同士で瞳を重ねあう。
それはすなわち、互いの目の奥にけぶる被虐の情欲をのぞきこまれるということ。
はしたなさに慄けば慄くほど、浅ましさに目を潤ませるほど、マゾの味を仕込まれた
心身は従順にとろけていく。鼻面をくっつけあっている以上、その変化をごまかせる
はずもないのだ。
「‥‥」
見られたくない。
イク瞬間を、はしたない顔を見られたくない。
けれど目をそらすわずかな自由さえ与えられず、たてつづけに加えられた刺激は飽和
しきった裸身に容赦なく追いつめ、責めたてて行く。
見ないで‥‥
ダメ‥‥今度こそ、本当にイク‥‥イッちゃう、からっ‥‥!!
ッ‥‥
今のは、こらえられたけど、でも、次にきたら‥‥
彼女だって恥ずかしいはずなのに‥‥あんな、こぼれそうなほど瞳を大きくして‥‥
イク瞬間を、何もかもを見られちゃう‥‥
とぎれとぎれの意識。
双頭のディルドウで腰を連結されているのを忘れ、無意識に顔をそむけてしまう。
それが、自滅の道だった。
動いた反動でぬちゃりと下腹部が音をたて、物欲しげに開いたクレヴァスが貝合わせ
さながら彼女の太ももになすりつけられたのだ。
充血した剥きだしのクリトリスが柔らかくUの字に折れ曲がった双頭バイブの突起で
こりっと梳き上げられ、瞬時に、完璧なタイミングで、苛烈な電撃となりビリビリと
背筋を灼いていく。
「あ、う‥‥‥‥‥‥ッッ!!」
はっきりと、絶頂の、そのまた高みの、はるか彼方へ突き上げられる。
後ろ手のカラダをぎゅうっとたわませて、ミトンの下で握らされた手首にめいっぱい
力を込めて極限の官能をむさぼりつくす。
必死にこらえる握りこぶしの下で、なにかカチリと押しこむような音が響く。
カチッと固いものが動く感触を手のひらに感じて‥‥
「ンァァ‥‥‥‥ァァ、ア」
「んぁンふッ、ふぁぁァ!!!」
口枷でくぐもった崩壊の調べが、2匹同時に零れおちる。
じっと耐えていた犬拘束の子の体が唐突に跳ねあがり、アクメを告げていた。
私と声を重ねて紡がれた甘やかな嬌声と、電気ショックに打たれたかのように激しく
強く身をこわばらせた姿を焼きつけたまま、消し飛んだ意識がどこか深くへと沈んで
いった。

             ‥‥‥‥‥‥‥‥

ブルリと身震いして意識の表面にふたたび浮上したとき、イキ狂った彼女のアヘ顔が
間近に迫ってどきりとする。
夜の底は長く浅く、眠りという解放さえ許さず、とめどない刺激で心を壊す。
つかのま忘れていた情欲が息を吹き返し、彼女の女性の部分をニチャリと押しつけら
れていた太ももが、怠惰に爛れきった内股が、もぞりと反応してしまう。
‥‥なにがあったのだろう。
ねっとりと混濁し、光の失せた瞳が私を見つめ返す。
闇色したうつろな瞳孔のどこを探っても、絶望と隷属しか残っていない。心が折れ、
完全にバイブの刺激でなすがまま自立的な反応を返すばかり。
私をかきみだすふしだらな旋律は止まっていた。
ビィィィンといううねりは依然、下腹部あたりで響いている。おそらく、今は彼女が
責められているのだ‥‥あのダイレクトな刺激によって。
まさか。
リモコン操作しているのだろうか?
‥‥誰の手で?
その見えざる誰か――ご主人様は、私たちの痴態を愉しんでいるのだろうか。
「ン、‥‥ァ‥‥」
かぼそい彼女の声は、けれど、はっきり艶をにじませていた。
びっしょり汗をかいた彼女は、甘いさざなみに犯されたまま下腹部をひたすらにくね
らせる。絶頂に絶頂を重ね、犬拘束の四肢を定期的に引き攣らせて、まるで壊れかか
った人形だ。
両手両足を4つん這いに折りたたまれては快楽を享受することさえ叶わない。
嫌がるカラダにむりやりアクメを刻みこまれ、快感に快感を上塗りされ、いつかそれ
はコントロール不能な無限の拷問になる。そんなときM女にできるのは、思考を放棄
してすべて受け入れることだけなのだ。
不安がつのり、口枷ごとディルドウを揺すって懸命に呼びかける。
「‥‥ッ、んン‥‥ぁ、ぅン‥‥」
「ぁ‥‥ふわぁ、ンァー!」
くずれきった鼻声は返ってくるものの、睦言のように頼りない。
鼻から下をみっちり覆う革マスクと、口元にぽっかり開いた排水口のような金属の孔。
そこからディルドウが生えて私の口に届き、とろとろと蜜のようないやらしい唾液を
喉に流しこんでくる。
口枷をつなぐチューブ内でねっとりした輝きがたゆたう。
ディルドウの穴からしたたる唾液を進んで飲み下しながら、あふれだす雫の粘りの分
だけ官能が濃密に溶けこみ、そうして彼女から搾りだされた愛欲が、なしくずしに私
の体内に注がれていくのだと感じた。
尽きることのない被虐の交歓。
これではまるで、浅ましい自縛の果て、死ぬまでイキつづける永久機関だ。
「んク‥‥ッ!」
ダメ‥‥なにを、私は‥‥
思わず強く目をつぶり、思考をしめだした。
えっちなことをイメージの片鱗に浮かべただけでも、発情したままの躯はじくじくと
うるみだし、愉悦を求めてざわめきだす。
はずむ息を懸命に殺す。
意識しちゃダメ、感じちゃダメ、快感をたしかめちゃダメ――――!
けれど、どんなに強く思っても。
ううん‥‥強く思えば思うほど、むしろ逆に。
全身はこわばり、震え、ひくひくたしかめるように、愉しむように、きびしい縛めを
味わってしまう。痙攣のおさまらない体全体をぴったり密着させて相手のぬくもりに
すがりつき、振動のやんだバイブをおぎなうかのようにお股をうねらせてしまう。
恥ずかしい。
はしたない‥‥あまりに惨め、あまりに醜い。
けれどもう、逃れられない‥‥
もぞもぞと悶え、乳房と乳房を、頬と頬を、女の帳を、なすりつけあう牝の色香。
見つめあう瞳から、どちらも目を離せない。
なぜって、ほどよく発情し、ほどよく焦らされて決して最後までイクことのない――
理想的な奴隷の姿がそこにあるのだ。
2人きりの観客の目を楽しませるのは、はしたなく柔肉をくびられ、いびつに残酷な
誇張をほどこされた私たち自身――よく躾けられた奴隷のピンナップだった。
「ン、んぁ、っク」
「ひぅぅ‥‥」
わななく喘ぎの二重奏。
ビクンと躯がおののくたびに金属の鼻フックがギッと鼻腔をひしゃげさせ、惨めさと
疼痛をわきたたす。両端を咥えあったディルドウに顔を揺さぶられ、連結された彼女
と自分とが、同じ奴隷同士なのだと自覚させられてしまう。
押しつけた太もものつけねに、力強い振動が響く。
革拘束と緊縛と。
性質の違う2種類の縛めに愛でられ、艶やかに競演する2つの裸身。
充血させる縄ざわりは女の躯を芯からチリチリのぼせさせ、うっ血した痛みを疚しい
縄酔いの喜悦にすりかえていく。
ウェストをきつく押さえつけられ、二の腕は3箇所でたわみ、X字の首縄がバージス
ラインの下をくびれさせ、上下に食い入ってぷっくり膨らまされた乳房はひりひりと
疼きが止まらない。しかも疼きの中枢、つんと尖った芯には鈍く輝く金属のクリップ
まで噛まされており、疼痛のあまり気を失うことさえ許されないのだ。
ご主人様の、サディストの手でさえない。
冷たい器具に責め嬲られ、エクスタシーの高みへのぼせていく。
かすかな身じろぎのたびにいやおうなく勃起した乳首を意識させられ、声が洩れた。
痛みと淡い快楽の混じった奴隷のみが知りうる悦び。そんなものに流されまいと縛め
の辛さを意識すれば、新たな情感がカラダ深くからうねりだす。
「ひぃ、ンーッ!!」
ひときわ切なげな喘ぎが裏返り、今ので彼女がイったことを知った。
クリトリスと奥を一緒に責めたてられ、たえまない浅い絶頂で彼女の躯が弾んでいた。
私がそうであるように、彼女もまた圧倒的な拘束の威力になすすべもなく蹂躙され、
儚い息をあふれさせるのだ。
じわりと沁みだす絶望は、これ以上ないマゾの心をくすぐる極上のスパイス。
圧倒的な情欲が、被虐の火照りが、全身を包んでいた。
何度イかされたのだろう。
‥‥ひどく疚しい気分が頭をもたげる。
この子は、私以上にマゾの快感に溺れきって、いったい、何度頂上を極めたのだろう。
何度、愉しんだのだろう。
ゾクゾクと。
嫉妬にも似た感情がこみあげ、立てつづけに何度目かの終幕をめざし呼吸をしだいに
短く詰めていく彼女を見ていられず、その下敷きにされているのがイヤで、不自由な
後ろ手でシーツにしがみつき上体で押しのけようとする。
そのとき、またしても奇妙な手ごたえがミトンの奥で手のひらをくすぐった。
犬拘束のカラダがくいっと反りかえり、唐突に硬直する。
「うぅぅッ‥‥!」
「ン!?」
「ふぅぅ!! う、っふ、うぁぅ‥‥」
わななく切迫した悲鳴におどろく私を、糾弾するように彼女が睨んでいた。
気づけば音が止まっている。
理不尽に裸身を揺すり、懸命になって残滓をまさぐるようにカラダをひねり、なおも
未練がましく括られた四肢を打ち震わせて、ひどく泣きそうな不満げな顔を私に振り
向ける。
もとより会話しようにも二人とも口枷のまま、意志の疎通などできるはずもない。
なによ‥‥
私がなにかしたみたいに、そんな顔で睨まないで‥‥
ギュッと体重を預けられ、知らず知らず圧倒されてシーツに沈みこむ。
なんだというのだろう。発情しきった吐息とうるむ瞳は、イク寸前にバイブが切れた
ことを訴えかけているらしい。
そんなことを私に訴えられても、どこかでリモコンを操るご主人様がいなければ‥‥
私の混乱をどう受けとめたのか。
むずがる子供のように暴れだす彼女は、自分の右肩をぐいとつきだした。
犬拘束の右手。
肘のところで折りたたまれ、肩をつかむようにミトンの手枷で固定された右手の指が、
革の縫製の下で蠢いているのが分かる。なにか、まさぐるかのように。
「ンーーッッ!!」
次の瞬間、私は飛びあがった。
前触れもなく衝撃が下半身を貫き、酷い刺激が腸内をねじくってお尻を電撃のように
灼きつくしたのだ。ビィィィンというおぞましい感触。
まさか、お尻を、バイブで虐められてる――!
背徳的な疼痛はどろりとおつゆをうながし、透明なしたたりがこんこんと湧きだす。
こんな、どうして、いきなり‥‥イっちゃ‥‥
ブリッジのように腰が浮きあがり、意識を真っ白にして大きく跳ねていた。バラバラ
になりそうな刺激のなかで、必死にリズムを合わせ、快楽を飲み下そうとする。
お尻、お尻でイっちゃって‥‥まだ、まだ来るッッ‥‥
「ううぅぅ‥‥ン、んふ、ァ!」
「――ッ!?」
一瞬でどろんと堕ちた私の瞳を射すくめ、犬拘束の子がまたも肩口で手を蠢かす。
次の瞬間、こんどこそ私は驚愕していた。
ぴたりと刺激がやんだのだ。
いまにもイけそうだった女のカラダがプルプルとよじれ、残酷な焦らしによって行き
場のない劣情がくるおしく肌を粟立てる。
そんな、イきたいのに、どうして急に動いて、止まって‥‥
うるんだ瞳と視線が交錯し、唐突に私は理解し――ぞくりと背筋をさかだてていた。
括られた両手の先、ミトンの奥で彼女が動かしたもの。
後ろ手のミトンの内側で私が握らされている、固いスイッチのような感触。
つまり‥‥
後ろ手に意識をやり、握りしめた物をまさぐりだす。右手にも左手にも、でっぱった
突起が手のひらにあたっていて、だから、ここをこうスライドさせると‥‥
「ひぁ、はぅ、んぁぁァァ!!」
喜悦の声が、ディルドウでつながった彼女の口からふきこぼれていた。
ジィーンと深い振動が重複して伝わり、バイブレーターの鈍い響きが彼女の下腹部を
扇情的にかきみだしているのがはっきりと見た目で分かる。
甘くしなだれかかり、感謝するように胸をこすりつけてくる彼女。その動きが絶妙に
はしたなく、私までがぽうっとのぼせかかって、知ったばかりのお尻の味を、アナル
虐めの感触が欲しいと、疚しい欲望がちらと脳裏をよぎって‥‥
そのすべてを、彼女に知られてしまっていた。
「ふぁ、ン、んーー」
「ヒッ」
息を飲む私の前で、逃れようのない私の前で、とぎれとぎれに気をやりながら、官能
の渦に揉みこまれた彼女が肩先で指をよじらせている。革のミトンの中で捕らわれた
指がスローモーションで這いまわり、おののく私の前で大きく、ぐっと何かをこじる
ように突き上げて‥‥
「きひっっ!!」
途方もない痛み、だった。
痛み、としか表現できないほどの、予想を超えた、許容量を超えためいっぱいの刺激。
即座にエクスタシーのきわから突き落とされ、眩暈のように堕ちていく。
二穴を同時に嬲られて、胎内でへだてられたバイブの蠕動が共振しあってクリトリス
まで痺れさせ、しかも、腰を押しあててのしかかる彼女の振動さえも響いてくるから
‥‥
いつ気絶してもおかしくない濁流のなか、相手の躯にしっかり自分を繋ぎとめていた。
情欲にうるんだ瞳は、片時さえ惜しんで目の前の女性を見つめる。
みだらに牝同士の喘ぎがかぶさり、けれど今度のそれは恥じて洩れでたものではなく、
お互いを昂ぶらせるための、一緒に昇りつめるための甘い意志の交歓だ。相手の色を
読みとり、リズムを合わせて律動をはじめ、咥えたディルドウを通してお互いの口腔
まで犯しあいながら‥‥
実に巧緻でいやらしい調教だと、遠のく意識のどこかが思った。
緊めあげられ。
夜の底に放置されて。
直腸にバイブの仕込まれたバルーンを飲まされて栓をされ。
そんなお互いの肢体が、浅ましい女同士のまじわりが、気持ち悪く感じてもおかしく
ない程の行為が、たまらなく愛おしく媚めかしいつながりに感じられて‥‥
鼻腔に食いこむ金属のノーズフックまでが微細に震え、惨めな姿を再確認させられる。
「んン、んぁ、はぅ」
「はふぅ、ン、イッ‥‥!」
ひっきりなしに息を吐き、かろうじて腰をよじり、体を横にしてくっつきあう。
チューブになったディルドウを一方的にしたたり落ちていた彼女の唾液が、今はチュ
ーブの底で光を弾き、私のものと混じりあう。
少し顔を傾ければ、私の快楽を飲み下すのは、彼女なのだ‥‥
姦計により、あるいは自発的に、幾度となくすすり舐めさせられた焦燥と絶望の啼泣。
縄をかけられたカラダは片時もじっとしていられず、革拘束がメジリメジリと猥褻に
鳴りひびき、とめどない疼きと渇きを汚濁の奔流が甘い衝撃で洗い流して‥‥
びっちりとカラダをくっつけあい、震えあって。
彼女の痙攣を私のものとしてむさぼって。
下腹部をみっちり犯しぬく太い背徳の芯を、まさに彼女の責めとしてあますことなく
受け入れて――



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