飼育 二日目―夜―

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「さぁ、メス犬の夜のお散歩に行こうか、早紀」
「?」
呆けた顔で、私はご主人様を見上げていた。
外はまだこんな明るいのに。会社帰り、学校帰りの住人が一番出入りする夕方なのに。
今ここから出かけたら、絶対、他の住人に見られてしまう。
冗談にもほどがあると思った。
露出のリスクが高すぎて、あまりに危うくありえない調教なのだ。
「信じてない目だね。でも、給湯器のリモコンは隠した。逆らってもムダだよ、早紀」
「くぅ‥‥ン?」
「俺がやらないと‥‥本気で思っているかい?」
ご主人様の瞳が細まっていく。
鼻を鳴らしかけ、ふと自分の姿に思いいたった。色づく唇の隙間から食みだすボール
ギャグ。残酷な獣の拘束具を課せられて地に這いつくばり、胎内を抉るバイブに涎を
ふきこぼすしかない、私自身に。
肘と膝に当てられた厚いパットが、ご主人様の本気を示しているのではないだろうか。
首輪を曳かれる私は、自分の望み通り、生殺与奪の一切を明け渡した牝犬だから‥‥
そうだった‥‥
拘束姿の従順なペット。お尻をふりたて、四つんばいで惨めに地を這うばかりの獣。
「んっ、ンァッ!?」
ゾクリと戦慄に捕らえられ、私はあわてて手足の拘束を凝視していた。
おののき、取り乱して手首をあちこち眺めだす。
絶望的なまでに閉じきった金属の輪。
手首と肩口、足首と太ももの根元それぞれを束ねられ、本当にいまの私は肘と膝で必
死によちよち歩くだけの‥‥あと、ご主人様に嬲られる以外の機能を剥奪された‥‥
交尾を待ちわびるだけの、完膚なき達磨女なのだ。
「分かったようだね。俺の許しがない限り、一生、早紀はそのまま暮らすんだ」
「うっ、うぐっフ、ひぐぅゥゥ!!」
「甘い期待ばかりで従うからこうなるんだよ。分かるかい、調教ということの本質が。
何もかもが君ばかり中心に回って、快適な、それが調教だと思っていたかい?」
「ひぅぅ、ンンンンンーーー!」
「早紀の好きなことだけ紡いで楽しむわけにはいかないよ。それは、それこそご主人
様をモノ扱いしている。最低の仕打ちだ。分かるね」
‥‥
ご主人様の呟きが、耳をすり抜けていく。
怖い怖い怖い怖い‥‥あんなに待ち焦がれていたのに、命令された途端、強制された
途端、怖くて、できなくて、手足がひきつって‥‥
グチャグチャにうるみっぱなしのアソコと裏腹に、全身を冷や汗がおおっていく。
この姿では、たとえ何をしようと強制しようとご主人様の思うがまま。
どころか逆らってひどい罰を与えられたとしても、身悶えさえままならないのだから。
遠慮なく首を曳かれ、窒息の恐怖感を植えつけられて。
すくみあがって抵抗もできない裸身ごと、ズルズルと玄関前まで引きずられていく。
うそ、うそっ‥‥その扉の向こうは、絶対に‥‥
怖くて、恥ずかしくて、もうこのアパートで生きていけなくなる‥‥
あふれだす涙と嗚咽。醜く顔を歪ませて、必死にご主人様にすがりつくのだ。
しばらくは無言だった。
私も、彼も。
どうすべきか、どうしたらいいのか、この人を信じたいのに、虐めてもらいたいのに。
秒針の音さえ肌の柔らかい部分に突き刺さってくる。
「‥‥俺の気持ち、こういうの‥‥どうにも、難しいな」
「ンク、エグッッ」
すすりあげつつ、頭をたれてご主人様の言葉を聞く。
叱責とも独白ともつかぬ声もまた、どこかとまどい、迷いをふりきれない響きだった。
「俺は君の道具じゃない。俺も、して欲しい。お前にさせたい。我慢が難しい」
「‥‥!?」
「つねにマグロじゃなく、そういう発想は、浮かばないのかな、早紀」
俺もして欲しい‥‥
台詞の弱々しさが、しゃくりあげる私の顔をはっとあげさせていた。
SとM。
当たり前の事。私が欲望をぶつけ、しゃにむに感じてしまうように、ご主人様だって
男性の当たり前の欲望を感じないはずがないのだ。
ずっと受け身で過ごしてきて当然だと思っていた。ご主人様が何でも与えてくれると。
さっきも、その前も、ご主人様が行動を起こすのをずっと待っていたのだ。
でもそればかりじゃ、2人の関係が正しく結べるはずがない。
ご主人様だって、独占欲も、支配欲、調教の欲望も‥‥性欲だって、あるのだから。
私は‥‥
ご主人様を、好きになりたいから‥‥
怖くても、信頼して、この人の立派な奴隷にして頂きたい‥‥
こくりとうなずき、従順の表明にカラダをすりつけた私は上目づかいに彼を見上げた。
ご主人様の欲望を、私が叶えてあげたいから。
しゃがんだご主人様が手を伸ばし、ボールギャグのストラップに手をかける。
「ンッ、ンフフフッ‥‥はい。私、ご主人様のためな‥‥ひゃぁ、あ、カハッ、ふク」
「ふふ。牝犬にに声なんかいらないね。犬らしく鳴いてご覧」
ボールギャグを外されたと思うのもつかのま、今度は強制フェラチオのための口枷を
噛まされる。素直に開く唇いっぱいに太い鉄の環を押し込まれ、ほんのわずか言葉を
交わすことさえ許してもらえないのだ。
少しだけ恨めしげに、頑張ってリングギャグを深々とほおばりつつご主人様を睨む。
「不満そうじゃないか」
「ンー」
「舐めてくれるね? 俺のものを」
「ぁぅッ‥‥くぅン」
甘ったれた喘ぎが出たのは気のせいだろうか。
悪っぽく囁きかえすご主人様も、サングラスとマスクの下でどこか嬉しそうだった。


              ‥‥‥‥‥‥‥‥


今度こそ、はっきりと眼にするご主人様の姿。朝は目隠しをされ、出かける時は背中
だけだからなおさら見つめてしまう。
どこか若々しさを残す男性、それが、私のご主人様だった。
同い年か、あるいは下かもしれない。マスクとサングラスで隠れたその顔は、どこか
凛々しく胸をときめかせる風貌のようだ。
リングギャグの栓を外され、開口部から舌をつままれてペロペロしゃぶりつつ、私は
ぽーっとうっとりした瞳でご主人様を見あげてしまう。
恥ずかしい拘束に甘んじて、この人に好かれて、かわいがられなんて。
喜びにときめいて、カラダがひくひく跳ねちゃう‥‥
「さぁ。今度は俺がマグロだ」
「むぅー」
意趣返しをされてぷっと膨れる。リングギャグのせいで気づかれないだろうけど。
私は迷わず、ご主人様の下半身に顔を寄せた。
ベルトを外し、ぱっつんぱっつんに盛り上がったジーンズを脱がそうと悪戦苦闘する。
「んっ、ンフッッ」
唇には相変わらずリングギャグを噛まされたままだった。
ご主人様のこの意地悪のせいで、歯をたてられない私はどうしてても前足を使わざる
を得ず‥‥そうなると、バランスをとるため、あのポーズになってしまうのだ。
「‥‥!!」
ここにきてご主人様の意図を思い知り、私は耳の上端まで真っ赤になっていた。
ワンちゃんの、チンチンのポーズ。
膝立ちになってカラダを密着させ、拘束された前足の先を曲げてジーンズのふちごと
ジッパーを下ろそうと悪戦苦闘する。その私の格好たるやご主人様にしなだれかかり、
くにくに足に押しつけるオッパイから、バイブと肉裂れのすきまからおツユをこぼす
アソコまで、カラダの全面が丸出しなのだ。
屈辱的で、しかもそれを自覚させられるポーズだった。
ご主人様の瞳がスケベな感じにニヤついている。観賞される奴隷の羞じらいが裸身を
まだらに火照らせる。今にも胸を、お尻を揉まれそうで、でも見られてるだけなのが
また切ない。
ようやくジジッとジッパーが下がり、割け目から天を突く反りがあらわになっていた。
ブリーフ越しの彼自身は充分以上に固く雄々しく反り返り、まるで媚薬のように発情
中の私を駆りたててしまう。
はふはふ言いながらブリーフに前足をかけたとたん、ご主人様が呻いた。
「痛、いたた、腹をえぐるな」
「あぅ!?」
前足がめりこんでボディブローになったらしい。思わずしゅんとなり、頭をたれる。
オシオキされても仕方ない粗相だ‥‥うなだれる頭を、意外にもご主人様の手が優し
く撫でてくれた。
「がっついたのは分かった、まぁ、許す」
「うぅ」
言葉でも辱められ、プレイでも辱められ‥‥
真っ赤になりながらも私はいそいそと、ご主人様自らがブリーフを下げてむき出した
太いソレに顔をかぶせた。そろりそろりと口枷のリングを通し、舌先で息づく分身を
確かめて嬉しさに腰をよじらせる。
ご主人様のオチ○チンが、私の口の中で、痛々しいほどビクビク震えてる‥‥
ガチガチにこわばったそれを慰撫するように舌を絡め、滑らかに首を動かしてフェラ
チオをはじめていく。あふれだす涎を頬のくぼみにため、舌にまぶしてからご主人様
に塗りたくる。音を立て、頬を吸い、むせ匂いにまみれて熱心に顔を動かす。
初めのろのろした首ふりは、少しづつ勢いをつけて口腔深くまでくわえ込んでいく。
「ンッ、おふっ」
たまらない恥じらいに、声を奪われた口枷の孔から嬌声がしたたった。
チンチンの姿勢で前も後ろもバイブに蹂躙され、完全なメス犬に仕立て上げられて、
そんな私が自発的にご主人様のものを咥え、美味しそうに奉仕を始めているのだから。
頭でわかっていても、とめどない恥辱が頬を火照らせる。
まぎれもないペットに成り下がった私を、ご主人様はどう思い、どう感じているのか。
『俺にもして欲しい‥‥』
あの弱々しさは、おののく私と同じように迷いあぐねてのことだったのだろうか。私
のご主人様になるのかどうか。これからも私を調教しつづけるべきか悩んだ末の。
だとしたら、ご主人様には遠慮なんかさせたくはない。
SMプレイでは、きっと、ご主人様の方がずっと大変で、苦労のかかる立場なのだ。
私への遠慮や躊躇が言わせた台詞なら‥‥
「ンブッ、ふブっ、っくぅぅ」
ぶちゅ、ぶちゅっとできるだけイヤらしく唾液を攪拌し、大きな音でしゃぶりつく。
舌先でねっとりとしごくように‥‥ご主人様を楽しませるように‥‥
男性がどんな風にコレを楽しむのかは知らない。
だけど私は、本当に、ドロドロに下腹部を熱くしながらご奉仕を続けていた。昔の彼
にだってしたことないくらい熱心に。敏感な舌先でなぞり描く肉のシャフトが、味覚
と触感と、鼻を突く雄々しい匂いと、擬似的に犯されている視覚のいやらしさとで、
これでもかと言わんばかりに私を責め嬲っている。
ご主人様のが、苦みばしった味の先走りのしずくが、脈打つ固さがたまらないっ‥‥!
「ングッ‥‥ふぅ、あうぅぅ」
いい、イイよぅ‥‥変な気持ちがどんどんにじみ出てきて‥‥
すごい犯されてるのが分かって、しゃぶるたび苦しそうに眉を歪めるさまがセクシー
で、上目づかいの視線が絡むたび、コレが口の中で跳ねるのが嬉しくって。
だから。
ご主人様の、全部。全部を。苦しくなんかないから。
一滴残さず、ビクビク波打ってるそのすべてを‥‥私に、下さい‥‥
いっそう熱心に舐めしゃぶり、ひくひく開いたり閉じたりする先っちょの割れ目に舌
を差しこむぐらいの勢いでとろとろと唾液をしたたらせて。
「ぐ、くぅッ!」
低い呻き声はセクシーだった。
そして、そのあと、あまたたび、たっぷりとたわむ砲身から吐き出された白濁もまた。
口蓋の裏を直撃して私をむせさせ、飲み干そうにも飲みきれず、濃いエグイ色をして
で緘口具のふちからあふれた粘液をあびたまま、媚びた上目づかいを彼に向ける。
半分は恨み言。酷いなぁって思ったから。
もう半分は睦言。私の口でイッてくれたことが嬉しくて、なにか奴隷の矜持のようで。
白濁まみれの舌先をギャグから出し、口枷の縁をねっとり舐めていく。
‥‥前の彼に教わった男殺しのテクニックとか、なんとやら。馬鹿馬鹿しいと思って
いたこんな唇を舐める仕草が、ご主人様を喜ばすために役立つとは思わなかった。
「‥‥エロイな、早紀は」
責める口調と反対に、ご主人様のソレがみるみる硬度を取り戻していく。
憤った分身をジーンズに押し込み、目元をゆるめてご主人様は私を見下ろした。
「名残惜しいけど、今はここまでにしよう。良かったよ」
「うン」
「さぁ、メス犬のお散歩に行こうか、早紀」
「‥‥‥‥」
みたび、非情な命令。
それを耳にして、私は、こくりと頷いていた。
ちろりちろりと被虐の焔が、理性をあぶり焦がしていく。
真実の意味で調教をされている。その自覚があった。
ご主人様の満足のためだけに、あえてお披露目でもするかのように、私は一番危ない
時間に連れだされようとしている。嫌がる行為を無理強いされている。
毛並みをあやす手が、うなじを伝い、背筋からお尻へ、つぅっと官能的に撫でていく。
白桃の裂け目からもぐりこみ、柔らかくほぎれたお尻に生えた尻尾へ。
アナルビーズを食わえこむヒダのすぼまりをいじられ、掌がふわふわシッポを揺らす。
「んっふッ、ふわぁぁァァ」
ゾクゾクした愉悦に突き上げられ、喘ぎはとめどなかった。
遠吠えする獣じみてお尻から弓なりに背をたわませ、キュプキュプと、胎内でアナル
ビーズばかりにこすられて、いじましいぐらい粘液があふれてしまう。
尻尾をあやされ、すっかり骨抜きにされ、拘束姿の、メス犬の私がお散歩へ向かう。
こんな躯で‥‥精液処理の道具そのものの、淫靡な躯に仕立て上げられて。ご主人様
どころか、誰にだって抵抗できない状況下で。
行きたくないのに。怖いのに。震えが止まらないのに。
隣人に出会ってしまったら、もう私はこのアパートに住むことさえできなくなるのに。
頭上でノブが回り、玄関の扉を鼻面でおしあけ‥‥
「ひゃンッッ」
お尻の中をかきまわされ、刺激にもんどりうった私は肘と膝で飛びだしていた。
アッと思う間もない。ねっとりした外気が毛穴をすくませ、取り返しのつかぬ動揺が
裸身を覆いつくす。
くらりと頭が傾ぐほどの眩暈に襲われ‥‥
ただの一歩で、完全に、底の底まで、私の肉体はオーガズムの頂点をきわめていた。
ぶるぶるっとよじれる秘裂が、排泄の孔が、バイブをギリギリ緊めあげる。佐藤早紀
を捨てられるのか‥‥その、本気の覚悟をするゆとりさえ、与えられずに。

完全に、後戻りできぬ裸身が、夕陽に染まっていた。

背後で音高くドアが閉じる。
リードを曳かれ、哀願することも逆らうことも叶わずに、四つんばいのまま歩きだす。
野外調教は、始まったばかりだ。

              ‥‥‥‥‥‥‥‥


宵闇の迫るアパートの廊下に、音高くひづめの音がこだまする。
肘と膝のパットに連結された金属のリング。たったそれだけの細工で、足音を殺して
そろりそろりとおびえる私の仕草はすべて無意味にされていた。
あまりにも辱められ、恥辱をなめつくして、自分がもう分からないのだ。
リングギャグにぐっと歯をたて、閉じられない唇から、力の入らぬ口から息をこぼす。
あぁ、だって‥‥
信じられない‥‥すごい、足音が響いて‥‥誰に見られるか‥‥
こんなヒドイ事されて、私ときたら、気も狂うばかりに感じちゃっているのだ。
靴音でも、ヒールの音でもない。いびつな蹄を踏み鳴らして、外気にさらけだされた
牝犬の裸がふらふらと亀のような歩みを続けていく。
進まない。
歩いても歩いても、踏み出す一歩がご主人様のスニーカーの幅にすら満たないのだ。
目も眩むばかりの焦燥感が、焦りが、意識を白く灼きつくす。
「‥‥」
だいぶ時間がたったにも関わらず、しつこく残照の粘りつく廊下は赤く染まった花道
だった。人の気配なんてそこかしこから感じとれる。なのに、私はまったき無防備で。
「んくぅ‥‥ッ!」
口枷を噛み絞り、快楽とともにわきあがる苦しい涎をコクンと飲み下す。
感覚は、這いずりまわる芋虫のそれだった。歩く、ではない。チリチリとマゾの愉悦
にただれきった肌をこすりつけ、その場でズリズリとのたくっては蠢くばかりなのだ。
信じがたいほどの被虐の疼きがカラダをかけめぐる。
なぜって、だって、今度こそ私は心から嫌がっている調教行為を強制させられている
のだから。逆らえず、ご主人様の色に染められていくのだから。
何もかもがか細く、頼るものさえなく。
頻繁に、何度も、いくども、顔を持ちあげては遥か高みで人の世界を確認するご主人
様の顔を‥‥横顔じゃなく下顔を‥‥上目づかいにのぞきみる。
それ以外に私を守るものは、何一つない。
震えつつも四肢をこわばらせつつも歩いていけるのは、ご主人様を信頼しているから。
安全を確認して下さるこの方なしでは、私は自分の部屋にさえ戻れないのだから。
「‥‥心配するな、早紀」
一人言のように、でも間違いなく私に向けて呟き、ご主人様がリードを曳く。
喉奥で哀しく喘ぎ、声と裏腹に耳たぶの先までのぼせあがって、私は曳かれていく。
バイブのリズムにあわせて肘と膝を動かし、啼かされっぱなしのカラダを爛れさせて。
行き先は‥‥
これも信じがたい、ようやく宵闇に包まれたばかりの、近所の児童公園だ。


深い深い泥の底を、黒い夢幻境をさまよう気分だった。
断片的な世界を、熱に浮かされ、立て続けのエクスタシーの中、わけもわからず朦朧
と這いずり回る。ようやく暗くなり始めた路地。アパートのエントランスから下りる
階段数段の絶望的な高さ。揺れるオッパイが邪魔で、遠くを走る自転車や車が、魔物
のように巨大に見えて、次第に拘束になじんできた躯が、肘と膝だけでもご主人様に
負けないぐらい普通に歩けるようになってきて、意味もなく道路のシミを避けては足
取りをふらつかせたり、よたよたと電信柱に隠れて通行人をやりすごしたり‥‥
そうして、公園入口の車止めを見あげている。
震えて力の抜けそうな肘と膝を必死につっぱらせ、四つんばいの姿勢でふらつく。
「なんだ、濡れまくっているな」
「あぉ、ン」
下腹部をまさぐられ、羞じらって身を揺する。
濡れたとばりをいじられて、バイブと一種にご主人様の手で虐められて‥‥感じない
はずがないのだ。体中をくねらせて、ご主人様の足にすりついてしまうのだ。
これが現実だなんて。
バイブを咥えた全裸で児童遊園の前にいるなんて。
ありえない‥‥そう思っていたのは、つい1時間前ではなかったのか。
シーソーに砂場、ブランコ、トイレがあるきりの小さな公園も、靴の先をなめる視点
からは茫洋として暗がりまで伸び、広がっていた。
ご主人様の計画が緻密だからか、あるいは幸運か、ここまで誰にも会わず歩いてきた。
だが‥‥この公園には人がいた。
塾帰りらしい中学生ぐらいの少女たちが、携帯をいじりつつ、ベンチに座っている。
見られちゃうから、イヤですよう‥‥言葉の代わりにカラダで気持ちを表現しつつ、
私は手綱を引っぱった。伝わったのか、ご主人様が頭を下げ、私を見下ろす。
慈愛に満ちた目。そう感じる。
サングラス越しに愛情深く眺められ、カラダがひくひくとなった。
「そうだな、早紀」
「あ、ンン」
思わず、殺していた喘ぎが大きくなってしまう。良かった、分かってくれた‥‥
手綱をにぎりなおし、ご主人様は続けた。

「よしよし。まずは一人で中に入って、四隅を一周してきなさい、早紀」

驚愕に瞳が、瞳孔が開いてしまう。
‥‥ご主人様は、本気だった。


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