飼育 三日目 ―そして―

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囁きには、反論を許さぬ威圧感がこもっていた。その意志に私は震えあがってしまう。
宵闇の迫る児童遊園に一人で入っていかないといけない。
それはすなわち、ご主人様の庇護を失い、無防備な全裸をさらけだすということだ。
自由を剥奪され、凌辱を待つばかりのこの躯では、3歳の子供にだって抵抗できない。
まして公園内には中学生ぐらいの女の子が2人もいる。もし何かイタズラされたら、
あるいはケータイで警察でも呼ばれたら。
それ以前に、この格好は、私だけじゃなく彼女たちにもトラウマを与えかねない‥‥
「嫌か。なら、さらにきつい命令だ」
「くぅ、ンン」
「あの子たちに、このニップルチェーンで乳首を繋いでもらえ。その後、公園の四隅
を一周して、そこで伏せて待つんだ。俺は近くのコンビニまで行ってくる。戻るまで
に、すませておきなさい」
「うぅッ‥‥!!」
ご主人様はニップルチェーンを口枷に押しこんで咥えさせ、すたすた早足で歩きだす。
あわてて追いかけようにもこの手足で追いつくはずもなく、角を曲がったご主人様は
すぐに消え、私はひとり取り残されるのだ。
「ンムぅぅ‥‥ぅ」
ぞわわっと全身の毛穴が開くのが分かった。
ウソ。こんな、本当に‥‥私、一人ぼっちで、命令だけされたままで‥‥
火照りつつ全身の血の気が引いていく、異様な感覚。びっしょりと冷や汗にまみれ、
完膚なきまで施錠されつくした牝犬の姿で、私は公園前に取り残されてしまったのだ。
火のついたように下腹部が疼き、ネトネトの肉ヒダが灼けただれて‥‥
女の孔すべてをみっちりと埋め尽くされ、激烈な羞恥の予感で躯が燃え盛っていく。
仕方がなかった。
あのときの私に、他に、どんな選択肢が残されていたというのだろう。


               ‥‥‥‥‥‥‥‥


あらためて‥‥
薄闇の中で自分自身を観賞し、凶々しい凌辱のエロティシズムに私は震え上がった。
淡い街灯を受けて、汗まみれの裸体が濡れ光っている。
きつく折り畳まれた肘と膝。ハァハァと開口部の鉄の環から舌をつきだすばかりの口。
際限なくポタポタとだらしない蜜を滴らせる下の唇と、アヌスに深く穿たれた尻尾。
指先から上腕までを包むレザーグローブは汗で完全に肌と同化し、厚いパットで接地
する肘と膝は、正しく犬の四肢そのもの。
顔はすっぴんで、梳くこともできぬ前髪がべったり額にへばりついているのだ。
この惨めな裸身を、思春期の少女の前にさらすのだから。
私一人ならけっして選ぶはずのない選択肢。それが、ご主人様の、絶対の命令なのだ。
行きたくない。けれど、ご主人様の調教に従うのが、奴隷の務めだから‥‥
のぼせあがった顔を伏せ、舌先でニップルチェーンを落とさぬよう押さえこんで、私
は車止めの脇から、のろのろと公園内に歩みいった。
前足が柔らかい土にめりこみ、すんでのところで転倒しかかる。それでも声は出さず、
のろのろと植え込みにそって先に公園のふちを歩いていく。顔はうなだれたまま。
できる限り、少女たちとかかわりたくなかったのだ。
見られたくない‥‥知られたくない‥‥
誤解しようもない、完璧に躾けられ調教された獣の拘束姿では。それが本心だった。
お仕置きされてもかまわない。せめて、2つの命令のうち一つはすませておきたい。
その足がもつれ、私はガサッと植え込みにつっこんだ。
突然の物音に驚いたのか、キャッ‥‥とも、ヤダ、ともつかぬ小さな悲鳴が上がる。
思わずその場で凍りつく。お願い、気づかないで‥‥
「な、なんか、いるよぅ?」
「‥‥‥‥」
「な、なに、あれ‥‥人? ヤダァァ」
見られた‥‥!!
ぎゅうっとカラダ中の筋肉が収縮した。
ご主人様だけじゃなく、赤の他人にまで浅ましい格好をさらしてしまった‥‥
おののきと好奇心の混ざった視線で裸身に舐めまわされ、恥辱を堪えて歩きつづける。
目を細め、拘束された指先をきつく握りしめて、気づかないふりをするのだ。すぐに
気持ち悪がってどこかに行ってしまうに違いない。
沈黙と静寂が続く。
視線ばかりが灼りつく肌に痛かった。
見られる恥ずかしさで何度もよろめき、大胆な弧を描いて濡れたお尻で誘ってしまう。
さぞかし煽りがいの、虐めがいのある奴隷だろう。おののきが心を掴むのだ。
「うぅ」
たえがたい羞恥に呻き、リングギャグを噛みしめた私はのたうち、その場で四つ足を
踏ん張った。公園の土は決して清潔じゃない。丸出しでオツユまみれのアソコを地面
につけたくない。
少女たちの気配が動く。良かった。立ち去ってくれるのだろうか。
だが‥‥
ひたひたと重なる少女たちの足音が、こともあろうに近づいてきた。
遠巻きに囲まれ、私は園内の隅に追い込まれてしまう。
「こ、この人‥‥変なカッコしてる、お姉ちゃん」
「ヘンタイよ、絶対。こんな姿で、私たちのこと、怖がってるみたいだもの」
姉妹の会話が耳に刺さった。
ヘンタイ‥‥そう思われても、何の反論もできない。こんな姿で、まぢかで破廉恥な
ポーズを凝視されているというのに、胎内がカッカと熱く照り映えているのだ。
じくじくと音をたて、抜けそうなバイブを深くきつく緊めつける。
「ひゃっ、キタナイ‥‥汗でべったべたァ」
「やめなよ、触っちゃダメ! 病気移されちゃうよ!!」
しゃがみこんだ妹を、姉らしい少女がすぐに叱った。目線の高さを合わせられ、顔を
のぞかれて、真っ赤になってうなだれてしまう。こんな子供たちに言葉で煽られて、
嬲られている。ご主人様の命令で、自分のはしたなさを嫌というほど痛感させられて。
どうして疼きがとまらないの。なんで快感がにじみだしてくるの。
惨めであればあるほど、カラダが盛ってしまうなんて。
マゾ奴隷は調教を受け、きっと、こうして社会のルールからはみだしていくのだ。
「お姉ちゃん、あれ」
「なんか口に咥えてるね、このヘンタイ。なんだろ」
触るなといったばかりの少女が大胆にも手を突き出す。反射的に私は後じさっていた。
この子にはどこか無邪気な悪意を感じる。ニップルチェーンを取られてしまったら、
乳首どころかもっとヒドイことをされてしまう‥‥直感的にそう思ったのだ。
だけど、私の仕草は姉を怒らせたようだった。
「何よ! そんなカッコで逆らうつもり!」
「ひぅ‥‥」
逃げるゆとりもない。なだめる言葉さえ、私は封じられている。
肩を怒らせた彼女が片足を上げた。ヒールのようなものを履いたその足を、私に‥‥
「何をしている」
男性の叱責が闇から飛んできた。
低い一声で少女たちがひっと立ち上がり、その場から逃げだしていく。
ぎょっとしてふりむくと、街頭に照らされてシルエットになった人影がやってきた。
警官‥‥通りすがりの男性‥‥?
脳裏をよぎる恐怖は、ご主人様だと確認した瞬間に消えていた。パァッと顔をほころ
ばせて駆けよりかけ、そこで彼の命令を果たせなかったことを思いだす。お仕置きを
されるだろうか‥‥のろのろと歩み、私はうなだれた。
私を見下ろし、ご主人様は口を開いた。
「大丈夫か? ケガ、させられなかっただろうね」
「ん、ン」
第一声は、私を気遣う、真摯な声。
心がぽっと暖かくなり、私はご主人様の足元にすりよった。ご主人様が肩を揺らして
いる。その姿は、まるでホッとした飼い主がもらす安堵の笑いのようだった。もしか
したら、最初から隠れたふりだけして、私を見守っていてくれたのかもしれない。
ご主人様に守られている‥‥助けてもらった‥‥
無防備に愛される喜び。屈服し、庇護される喜び。それは、圧倒的に私を満たした。
野外での露出調教を施されていく現実。
とどめようもなく、思慕の思いと、マゾの血がじわじわ目覚めていく。
「命令を守れなかったね」
「ンーー」
「まぁいい。早紀が無事でよかった。せっかくだから、ここにマーキングしていこう」
マーキング? 犬の、マーキング‥‥
意味を把握し、とたん顔がバラ色に上気していく、
「意外に今日は外の温度も低いし、実は今すぐしたいんじゃないのか?」
「‥‥」
言われて初めて、おしっこの欲求に気づく。
ご主人様は、サングラスとマスクの下でニヤニヤしているようだった。ベンチに腰を
下ろし、楽しそうに私をからかいつつ見つめている。
恥ずかしい‥‥
けれど、この恥ずかしさは、さっきとは違う、暖かい恥ずかしさだ。ご主人様に要求
され、何もかもさらけだすことが私の悦びになってしまっているようなのだから。
ご主人様を悦ばせたい。かわいがってもらいたい。
その一心から、のぼせた頭で片足を上げ、寒気を感じる下半身をぶるぶる揺すった。
なにか、とどめようのないものが、もう、すぐに、あふれてくる。
イヤらしいバイブの振動に、さらにあおられて‥‥
シャァァっ‥‥
ほとばしる水音は恥知らずな勢いだった。
掲げた足の間から、おしっこが湯気を上げ、アーチを描いて木の根元にかかっていく。
全裸で‥‥
フェイスギャグを噛まされて‥‥
自力では一生外せない形状記憶合金の枷を嵌められたメス犬として‥‥
情けない四つんばいの姿で、公園の片隅にマーキングを、おしっこを垂れ流していく。
「溜め込んでいたなぁ、早紀。念入りにマーキングしておけよ」
「くぅぅ」
真っ赤になりながらも、私はたしかに‥‥
後戻り不能なマゾの悦虐を、堕ちていく者の悦びを、躯に刻み込まれていたのだった。
人の尊厳、羞じらいを代償とした解放感が裸身にしみわたっていく。
2つのバイブにイかされ、緊縛に身をゆだねながら、こんな破廉恥なことまでできる
ぐらい、ご主人様好みのの奴隷に躾けられていくのだ‥‥
トリハダだつ毛穴の奥まで、ヒダの一枚づつまで、調教の蜜の味を刷り込まれていく。
最後の、最後の一滴までポタポタっと出しきった私は、しゃがみこんだご主人様の手
でにワレメを丁寧にぬぐわれ、ティッシュの感触にさえ煽られて、感極まった喜悦の
喘ぎを、透明なものを、上からも下からもたてつづけにあふれさせていた。


              ‥‥‥‥‥‥‥‥


私のカギを使い、ご主人様が玄関ドアを開け放つ。
ケモノの拘束具を着せられたまま、リードでうながされた私はよちよちと自分の家に
あがりこんだ。背後でご主人様が扉を閉める。まさにペットとしての扱いそのものだ。
お尻をピシャピシャと平手で叩かれ、追い上げられていく。
恥ずかしい‥‥嬉しい‥‥気持ちイイ‥‥
さまざまな相反する要素が私の心の中でせめぎあっていた。
お風呂場に連れこまれ、わかしたてのお湯で形状記憶合金の枷を外してもらう。
疲労でこわばったカラダから革の拘束具を脱がされてゆくうち、不意に恥ずかしさが
こみあげた。もう何度となく全裸を見られ、抱きしめられて、ありとあらゆる場所を
揉みほぐされたというのに。
狭い風呂場で、無防備な姿で、男性と2人きりなのが、ドキドキの理由なのだろうか。
「あ、あの‥‥ご主人様」
「ごゆっくり」
言い残し、ご主人様が風呂場の擦りガラスの戸をしめた。
女心を察してか‥‥それとも、調教の後の、リラックスを与えてくれたのか。ご主人
様をどんどん好きになっていくのに、彼の心理だけが読みきれない。
心身の汚れと疲労を洗い流す。
ちゃぽんと水音をはねさせ、きしむ手足を思うさま湯舟で伸ばした。
ご主人様は、何をさせたいのか。私をどうしたいのか。この後、私がどうなるのか。
何もかもが見えないまま、マンツーマンの調教は続く。
嫌‥‥ではなかった。だからこそ、なにもかもあの人に、私は預けているのだから。
でも、なぜ‥‥
「抱いてくれないのですか?」
舌先にのせた台詞を、そっと、跳ねたお湯のしぶきに溶かしこむ。
こんなにも気持ちを滲ませているのに、私から迫ってさえいるのに、あの人は最後の
一線を越えようとしない。さっきの公園でも簡単に欲望をみたせただろうに、あの人
はジーンズの前を膨らませたまま、それでも私を愛撫しようとはしなかった。
嬉しい、満足‥‥でも、なぜか、心が‥‥
「寂しい‥‥変ね」
不意に視界がにじみ、ばしゃばしゃとお湯で顔を洗う。


風呂上りのほどよくゆだった裸身に、ふたたび縄を打たれていく。
放置プレイのときとは違い、ゆったり緊縛を身にまとう‥‥そう、まさしく縄装束だ。
手首や胸縄はたるみも隙もなく緊まっている。けれど、血行が圧迫されたり、苦しい
感じはまるでない。やわらかい手編みの籠に全身を包まれた不自由さだ。
発情したまま、その熱をにじませて。
ご主人様の調理した夕食を床下で頂き(スパイスの効いた野菜カレーだ)、トイレも
付き添っていただいて、あとはお姫様抱っこの要領でベットの中へ連れ込まれる。
またしてもドクドクと高鳴りだす胸に、私は驚いていた。
バイブを外され、股縄だけを埋もれさせた下腹部が甘い蜜をたくわえだす。
甘いときめき。まさしく私は彼に、強烈な異性の匂いを、誘惑を感じとっているのだ。
今度は‥‥どう、なるのだろう。2人きりで、私は絶対抵抗しまいと誓う。


30分ののち。
穏やかな寝息をたてるご主人様を、私はなかば恨めしげに、もうほとんど公然と頬を
ふくらませて睨みつけていた。ボールギャグを舌でつついては鼻を鳴らす。
鈍感にも、ほどがある。怒っているのに、甘えたくて、でも起こすのがためらわれて。
なんだコリャ。自分に問いかけたい。私の心はどうして、こんなバラバラなのかと。
どうして、私を抱いてくれないのか‥‥と。
「ンーー」
不満のあまり喉声をあげ、私は彼の足に自分の足をぎゅっとからめる。
ベットスタンドの灯りの中、はだけられたご主人様の裸の胸に私は頭をもたれていた。
頬をすりよせる胸板はゆるやかに上下し、広い肩幅と引き締まったカラダはセックス
アピールをただよわせ、男性の色香で私を切なく悶えさせてしまう。
ご主人様を起こせばいい。その通りだけれど、そうは思っても満ちたりた彼の寝顔を
邪魔するのが忍びないのだ。まして、私は奴隷の立場だから‥‥
涎の痕が残るだろうに、ご主人様は優しく私の頭を引き寄せ、腰に手をかけている。
とろんとした瞳で、私は飽くことなく彼を見つめていた。
この人は誰だろう。どうして顔を隠すんだろう。
仰向けに寝ている今でさえ、彼はサングラスとマスクをしたまま。ジャン・ポール・
ゴルチェのロゴ入りサングラスは、輪郭を実際以上にシャープに見せている。水谷君
の面影はたしかにある。でも、それにしては頬がふっくらしすぎ。それにあの子は、
ブランド物とか好きなタイプじゃないはず‥‥
声は全然似ていない。ずっと低い。ちょっと怖ささえある。
でも、押し殺した声が声音かもしれないと疑いだしたら、そうも思えてしまう。笑い
声がやけに明るくて水谷君ぽいとも思えるのだ。
たえまなく猿轡で話す自由を奪われているのも、私の詮索を封じるためかもしれない。
正体を秘めたご主人様。
明白なのは、私の、変わらぬ思慕の思いだけ‥‥
縄掛けされた裸身が疼き、濡れた股間をご主人様の太ももに押し当てた。
片足をロープでベットの足に繋がれているため、こんなにもご主人様が無防備なのに、
ずり上がって後ろ手で変装をはがすこともできないのだ。
何重にも括りあわされた両手首の先で、自由な指先が意味もなくはためいてしまう。
私を‥‥女として、みていない‥‥?
でも、ならフェラチオなんかさせるだろうか。
分からない。分からなかった。ここまで煽られて、最後は放置プレイだなんて。
もどかしい火照りの行き場もなく、また鼻を鳴らす。
ふわふわと焦らされたまま、意識が断続的にとびだした。
あまりにもめまぐるしい調教の連続で、ありえない体験を立て続けにして、とっくに
刺激の量が私のキャパシティを超えてしまっているらしい。泥のような睡魔が、頭を
真っ白に塗りつぶそうと襲いかかってくる。
ダメ、私‥‥まだ、ごほうびもらってない‥‥
なにやら意味不明な寝言を最後に、私の意識はふっつり絶えた。

 
              ‥‥‥‥‥‥‥‥


さざめく雨音で目が覚める。
外はまだ早朝のようだ。考えてみれば、緊張と疲労で引きずり込まれるように眠って
しまったのが、10時も回らないぐらいの時間だったと思う。
ご主人様は‥‥
顔を向けると、至近距離から瞳の底をのぞきこんでくるご主人様の目に捕らえられた。
サングラス越しの深みが私をからめとり、続いて意味もなく真っ赤に頬を染めさせる。
「おはよう、早紀」
「あふ‥‥ん、あふ」
半ば寝ぼけて律儀に返事を返すと、彼はクスッと笑って起き上がった。


ビデオデッキをいじっていたらしいご主人様が戻ってきて、朝の餌付けがはじまる。
テーブルの足に首輪をつながれ、椅子に座った足でカラダをいじられながら、テトラ
と見つめあって食事をする。ミルクを舐める彼女の向かいでコーンポタージュを舐め
させられ、テトラと一緒にちろちろ舌を出しながら、いたたまれぬ浅ましさでカラダ
がじゅんと濡れそぼっていく。
いつでも、今すぐバックで貫かれたとしても。
準備が整い潤いきった私のカラダは、ご主人様のモノを受け入れられるだろう。
‥‥セックスのことばかり考えている自分に気づき、さらに私はカァッとのぼせた。


両足を投げだしてベットにすわり、後ろから抱きしめるご主人様の膝と膝のあいだに
すっぽりとおさまる。尾てい骨にあたる男性のこわばりを意識するうち、ご主人様が
リモコンを操作した。
アパートの壁に、パァッと浅ましい女奴隷の姿が浮かび上がる。
はっと身をこわばらせた私を抱き寄せ、ご主人様は耳の裏から囁きかけてきた。
「昨日、君が風呂に入っている間に見つけたんだ。楽しんでいるね」
「う、くふぅ」
恥じらい‥‥いや、それ以上の、さらに悪い、いたたまれなさ。
ご主人様を裏切ってしまったかのような、そんな後ろめたさが私を押しひしいでいた。
彼以外のドミナに支配され、縄をかけられていく私自身が、あますところなく映し出
されていく。その中で、私はあられもなくよがり、声を上げ、どう見てもレズSMを
愉しんでいるようにしか見えないのだから。
「感じて、いるんだね」
「う、うぁう‥‥」
「いいご主人様じゃないか。俺の出番なんかないような気がするよ、早紀」
淡々とした、感情の見えない声が私をわななかせる。
違う、違うの。だって、だって私は‥‥
どれほど思っても、声を奪われ、こんな姿で、奴隷に言い訳の自由が許されるものか。
私は、ご主人様の腕の中で小さくなっていた。さらにこわばり、激しく自己主張する
ご主人様の下腹部の、その意味に気づかずに。
「正直に答えるんだ。君は‥‥本当は、まだ誰のものでもないんだな?」
コクリ。
「俺は、他人が調教済みの奴隷なんて欲しくない。一人の奴隷をシェアするつもりも
ない。俺のモノは俺のモノだ。俺だけのために尽くさせる」
「‥‥」
「正直、昨日はこれがショックだった。夕食後に力づくで嫌がってでも早紀をモノに
したいと思っていたのに‥‥何もできなかった。俺は浅いんだ、案外」
自嘲の響き。
息詰まる告白を、私は息を潜めて聞いていた。
「今はまだ君を俺のものにする時期じゃない。お互い準備がたらない」
「んふっ、ン」
「こんな状況で君を抱けば未練が残る。他人のモノになったかもしれない君のことを
考えつづけるのはご主人様としてあまりにみっともない」
だけど‥‥
言葉を返し、ご主人様は私のカラダをやわやわと卑猥な手で揉みこんだ。
思わず喘ぎ身悶えるその耳もとで低く囁く。
「君は無防備に俺を信じてくれる。泥棒とか、金銭やカードを盗まれないかとか‥‥
そんな心配さえ考えもせず、無条件に、僕にカラダを預けてくれる」
「‥‥」
「分からないんだ。早紀。俺は‥‥」
ご主人様の声は、ためらい迷う男性の苦悩にみちていた。
私が忠実な奴隷でありたいと思うように、この人もまた真摯なご主人様であろうと、
そう思っているのだろう。
「俺は‥‥どうしたら、いいのか‥‥」
「‥‥」
黙ったまま、ふりむいた私は彼の目を見あげ、舌先でボールギャグをつついてみせた。
口枷を外され、そうして、もつれる唇で、やっと‥‥心を決める。
恥ずかしいとか、顔から湯気を上げて上気しているとか、そんなこともう構わない。
のぼせた瞳で、羞じらいをかなぐり捨て。
言いたかった本音を言う。
「ご主人様に愛されたいんです。今すぐ調教してくださらなくてもいい。一晩だけで
いい。気に入ってくださったのなら、私を‥‥メチャクチャにして、抱いてください。
ご主人様がウソじゃないって、知りたい。感じたい」
「早紀」
「本気です。ご主人様の、カラダを知りたい。欲望を欲しい。愛を交わして下さい」
支離滅裂‥‥なんだか私、まるで、エッチに狂ったダメな女みたい‥‥
灼りつく裸身のせいばかりではなかった。
私は、本当に、ご主人様の思いをカラダで感じたいのだ。尽くすことが奴隷の役目、
だからこそ。
唇をかみしめた私のあごが、くいっと引かれた。
思わずあわせた瞳が男の愉悦に、性欲にたぎっている。マスクを外し、形の良い唇を
あらわにする。返事は短く。思いは深く。
「分かった。君の、望みのままに」
「はい‥‥ご主人様」
閉じることなく、熱い吐息を重なった唇から飲み下す。


求めあう舌と舌は懊悩の極致だった。
ここまでずっと焦らされ、お預けにされてきた愛情が、愛の交歓が、生の感覚器官を
通して、粘膜をとおして、とろとろとじくじくと混ざりあう。
飽きることない口腔の探索。
不自由に身を絞られていたって、こればかりはご主人様も私も条件は同じ。弾力ある
舌の中腹を下の歯におさえつけ、ズリズリとなすりながら涎を飲ませていく。
「ぐ‥‥う、んググ」
「んふ」
ご主人様に先んじてリードしている‥‥愉悦の笑みは、あっという間に妖しく崩れた。
お返しとばかりプックリ尖っていた乳首をつままれ、きゅうと紡錘形に引き伸ばされ
てしまう。
「あぁン、はぁァンァ‥‥んんっ、んぷっ、ンンーー」
痛みと快楽がグジャグジャになり、悩ましく吐息をつぐところで首をそらされ、彼の
唾液をたっぷりと流し込まれた。口腔を舌で犯され、防戦一方の中さらに下腹部へと
もう片方の手が伸びていく。
「はぁン、ひぁァン、だめ、ダメェァ」
ダメなのか、欲しいのか、声と裏腹にくびれた腰はおねだりするように伸び上がり、
背筋をつたいおりてくる手にお尻を撫で回されてハスキーな鼻声で悶えてしまう。
そう、もっと深くまで、太ももだけじゃイヤ、その奥が、私‥‥濡れて‥‥
ついに。
ツプリと、白桃の裂け目をかきわけたご主人様の手が、股縄をおしのけて前後の孔に
やわやわと指を這わせだす。くすぐったくていじましくて、そのくせ刺激は柔らかい。
「あっ、あぁン」
ムダと知りつつ伸び上がって裸身をくねらせる。逃げられるはずもない抵抗だ。
唇と指で、女の穴という穴を制圧され、下半身が浮き上がるような衝撃に、唇を深く
奪われたまま、私は腰をビクンビクンとはしたなく揺すっていた。

離れた唇からねばぁっと濃いアーチがしたたり、崩れ落ちる。
もどかしく肌をくっつける私をつきはなし、ご主人様は縄の束をしごきだした。
さっきまでの縛りはそのまま、さらに後ろ手胸縄の上から縦横に火照った裸身を縛り
上げていく。オッパイの上下をヒリヒリとくびりだされ、ウェストを菱縄で緊めあげ
られ、何度となく後ろ手の手首を通し、二の腕を上半身にびっちり一体化させていく。
ふたたびのボールギャグを、私は自分からむさぼり咥えこむ。
あぁ‥‥そう。この感じこそ。
不自由の極みに広がる、愉悦の幻想境。身じろぐだけで爛れた素肌がキリリと縄目に
虐めぬかれ、ご主人様の愛撫との相乗効果が、果てしない悦虐へと私を導くのだ。
マゾの色に染まりきった私の瞳は、ご主人様にどう映るのか。
たたんだ片足まで縛められ、凌辱の期待を目にこめて、私はご主人様ににじりよった。
待ちきれなくてグショグショのオツユがシーツを汚す。
ご主人様もまた、獣の目をしていた。
遠慮も気遣いもない。乱暴な手つきで腰から抱えあげられ、対面座位の形でご主人様
の上に腰を浮かされる。
火を噴かんばかりに強く天を突く男性自身へにワレメの周囲をくすぐられ、そして。
無造作に、前戯すらなく、ご主人様の猛りくるったソレがズドンと、落下の勢いで私
のクレヴァスに、まちわびる蜜壷に突き刺さった。
「い、ギィッッ!」
ボールギャグの奥から歓喜の悲鳴をあげてしまう。
すごい、もの凄くビクビクしてて、エラにこじあけられていく‥‥
濡れそぼったアソコはやすやすとご主人様のモノを飲み込み、カリの張ったシャフト
にねっとからみつく。そのまま、腰を支えるだけのご主人様の手の中で、私のカラダ
は自分の重さに導かれ、じわじわとメリメリと串刺しになっていく。
いきなりの変質的な性行為に目元をうるませ、私は、彼自身を味わいつくしていた。
バクバクと動悸がおさまらず、乳房や後ろ手の縄目をいじられながら、ご主人様の肩
にあごをのせてヒクヒクともだえてしまう。
まだ繋がっただけで、受け入れただけでこの充足感なのだ。
これが動き出したらどうなることか‥‥?
恥ずかしい満足感に赤くなる頬をつままれ、顔をのぞかれて、ボールギャグの上から
唇を吸われたり、唾液を流し込まれたりして、ネチネチと奴隷の辱めをうけるのだ。
さんざんに私をもてあそび、嬲りつくしたあとで。
「く‥‥すごい感触だな、早紀。ようやくなじんできたよ。いいかい、動くぞ」
「ンッ、ンフ‥‥ぁ、ぁふ、ぅぅぅんンンーーーッッ!!」
抽送の衝撃に、あっという間もなく私は最初のエクスタシーに、アクメの頂まで上り
つめていた。無残に縛り合わされた奴隷の身をたわませ、捩じらせ、もがきあがいて。
ご主人様の声だって上ずっている‥‥そのささやかな満足感に酔うひまさえ、私には
与えられないのだ。


何度も突かれ、貫かれ、ギンギンにこわばった彼自身を懸命に貝のヒダで緊めあげて。
いつのまにか私がまたがる格好で彼の上にいた。
下からオッパイをわしづかみにされ、唐突な愛撫に甘くよがりなく。
騎上位でうねりくるう裸身。腰と腰が上下に弾み、恥骨に衝撃が響いてくる。
長いリズムでたぷんたぷんと乗せあげられ、そのたびに雫がなんともいやらしい淫律
を奏でている。腰に回されたご主人様の手。見下ろせば、縄打たれた全身が激しく汗
ばみ、みしみしと軋んでたゆたっているのが分かる。
激しい交合を見せつけるように深く貫かれ、腰を大きく弾ませる。
ボールギャグから爆ぜる涎さえ、気にする余裕もない。
また体位を入れ換えられ、上半身を前につきだすようにして背後から抉られる。
前に崩れそうな裸体を縄で引き戻され、ご主人様が縄尻を自分の首に引っかけてでも
いるのか、顔からシーツに埋まることもなく舳先の女神像のように裸身が反り返って
いる。
汗のつぶを弾きとばし、みだらに、官能に、縄打たれたカラダが隅々まで打ち震える。
肌を這いつたい、アクメの波が重層的に重なり合って私をおののかせるのだ。
「くぅうン、はぅぅぅン」
もはや人の喘ぎなど出せなかった。
縄尻を曳かれ、ぐいぐいと根元まで打ち込まれていくコレは獣のような交合だ。
恥も外聞もなく啜り泣き、甘い蜜の味に歯を食いしばり、全身を火のように盛らせる。
宙に浮く乳房がたゆたゆと縄のはざまで前後に震え、短くアップビートな抽送が私を
ズクズクと突き崩していく。
なしうくずしの快感に、反応も、彼につくすことさえ意識から消え去っていた。
ひたすらに続くのはエンドレスな快楽の衝撃。
とめどなく、めくるめく蜜の味にむせかえって、ガクガクと気をやりながら。
まだ続く、まだ、まださらに上がある、まだ、躯がこんなにきつくギュウとねじれて
いるのになお、オーガズムの波が、波濤が、全身を飲みつくし、遥かな高みへと押し
流していく。
男性のたくましい腕を感じ、脈打つモノのリズムを、味を、をあそこで噛みしめる。
こんなにも‥‥カラダが、舞い上がる‥‥


              ‥‥‥‥‥‥‥‥


ご主人様‥‥
意味のない睦言をつぶやき、暖かい男性の胸にもたれかかろうとして目覚める。
違和感があった。しなだれかかった上体が何かに強制され、不自然に突っ張っている。
まるで、両腕をピンと広げて、磔にされてでも、いるかのような‥‥
磔‥‥両手が、磔に‥‥!?
「へ‥‥ふぇっ!?」
愕然として目が覚めた。
室内は夜の闇に沈み、枕もとのスタンドと、天井の灯りだけがほの暗く部屋を照らす。
首をかしげた私は、窓に映りこんだ光景を目にしていた。


アパートの部屋の、いつものベットの上に座らされて。
観賞用のオブジェらしく絶望的な拘束を施され、汗みずくの裸身を揺らす私自身が。
‥‥‥‥そこに。


背負わされた金属のポールはたるみもなく、ニップルチェーンで繋がれた両の乳首は
すでにしびれきっていた。女座りの足は、拘束の厳しさに変色しかけている。
顔の下半分は、厳重なレザーのマスクに覆われていて。
「あ、あふ‥‥!?」
さぁぁっと血の気が引いていく。
信じられなかった。わが目を疑った。
セルフボンテージに失敗したあの瞬間のまま、何も変わらぬ拘束姿で座らされている。
絶望的な緊縛に啼かされ、さらに消耗し、脱出の手段もなく、そして、一人きりで。
胸の谷間で、二度と外すことのできない手枷のカギが揺れていた。
助けなど、すがれる人など、ここにはいない。
ご主人様との甘い蜜月‥‥では、あれすら死の寸前に朦朧とした意識が見せたただの
幸福な幻想に過ぎなかったと?
あの感触が、あの声が、すべて夢の中のものだったと‥‥いうの?
ウソだウソだウソダほどけない外せない助からない逃げられないどうしてどうし‥‥
狂ったようにその場でカラダをひねり暴れさせ、パニックに陥って叫ぶ。
「イヤァァァ!!」
こだます沈黙は、深く、長かった。
叫びの残滓が、耳を刺すように部屋の空気を漂っている。
「え?」
「どうして」
「声が‥‥出た?」
狂人のようにぶつぶつ呟きを漏らす。
マスクの下で当然噛みしめているはずのボールギャグは、なぜか首にかかっていた。
あの時と‥‥自縛に失敗し、打ちのめされて気を失ったあの時とは、違う。
しかも。
「ウソよ、なんで‥‥外れて」
思わず呟く私の足元、女座りに凹んだシーツの谷間には、飾り玉があったのだから。
そう。あれほどもがき苦しんでばし外れなかった磔の横木の、その先端の飾り玉が。
手枷を外す最大の障害が、そろえて、外された状態で、私の足元に。
「‥‥」
呆然となり、けれど、しばしのち。
私は、忙しく手足を動かし、セルフボンテージからの脱出を再開したのだった。


週明けの月曜日。
いつもと同じ、いつもの朝。手足に縄のあざが軽く残り、連日連夜の調教三昧で腰が
抜けそうなほど疲労している以外は、そう、いつも通りだ。
彼との邂逅は夢ではない。そこは確信している。
そうでなければ、あの磔の状況から、私が抜け出せたはずがないのだ。
ご主人様は私を助けてくださり、週末の間、優しく愛してくれた。私はただあの人の
命令におののき、啼かされ、温かい腕を感じながら、何度も何度ものぼせあがっては
頂上をきわめていた‥‥
「なのに、どうして消えちゃうんだか」
とりとめない思いにふけりつつ玄関を出ると、隣の部屋のドアが開くところだった。
「あら、水谷君」
「はい。早紀さん、おはようございます。ちょっと眠そうですね」
「うん‥‥」
あのね、昨日何していた‥‥?
昨日はありがとね‥‥
一瞬のうちに様々な会話のパターンが思い浮かんでいた。アパートの隣人、水谷碌郎
君。彼こそ、もっともご主人様に近い男性の一人だった。彼がそうなのだと、あるい
は違うと、どうやってカマをかけるべきか。考えつつ年下の大学生に目をやる。
あっと、私はのけぞっていた。
「な‥‥なんですか? 寝癖でもついていました?」
「いや、あの、えっと」
思わず口ごもる私の視線は、開いたシャツの胸に無造作にひっかけられたサングラス
へ集中していた。同じダークシルバーのフレーム、ゴルチェのロゴ。見覚えがある。
ご、ご主人様‥‥の‥‥
「あぁ、これですか? ヘヘ、いいでしょう」
「へ?」
私の動揺を知ってか知らずか、彼は無邪気そうな笑顔を見せる。
「あのドラマ以来、このシリーズも品不足で困りますよね。やっと手に入れたんです
‥‥早紀さんが私大生の流行に詳しいとは知りませんでしたが」
「へ、へぇ?」
その時の私がどれだけ間抜けな声を出したか、想像もつかないことだろう。
水谷君の話の断片から、そのサングラスは大学を舞台にしたWEBドラマで人気俳優
がかけていて、一気に人気が爆発したシリーズだと分かった。
つまり、彼ぐらいの年頃の男の子が持っていても、なんの不思議も無い、ということ。
「ふ、ふぅーん」
「ま、そんなワケですよ」
得々と語った彼はサングラスをかけ、エレベーターホールへ歩きだす。
でも。
後ろ姿は、そして歩きぶりも、たしかに似ているようにしか思えない。今の説明も、
なんだかとってつけた釈明めいて、白々しさがなかっただろうか。
「‥‥ご主人、さま」
われしらず呟いた私の前で、大きな背中がギクリと揺れた‥‥ような、気がした。
違うと思う。たぶん彼じゃないかと思う。でも、確信はできない。
そして確信できるまでは、私からは何も言えないのだった。セルフボンテージの性癖
は、私とご主人様だけの秘密。決して、誰にも明かすわけにいかない。
だから、今、ここで水谷君を問い詰めることができない。
この、もどかしさ‥‥
それでも、私は可能性を信じたかった。あるいはそうであって欲しいと願う。好きな
人が、好きになりかけている人が、本当の意味で優しく厳しいご主人様なら。
「その時が来るのを、待ってるわ‥‥私は。ずっと」
「‥‥え? は、はい!?」
語りかけた台詞に、思いっきり、水谷君がうろたえていた。
まあ無理もない。こんな思わせぶりな台詞、たとえ彼があの人じゃなくても、普通は
焦るに決まっている。だからカマをかけたというレベルの会話でさえない。
あえて言えば、私の、独りよがりな願望。
「あ、あの‥‥早紀さん? な、なんですか? なんか、約束しましたっけ?」
「うふふ」
ご主人様の準備が整うまで。私は私自身を取り返しのつかない所まで、従順なセルフ
ボンテージ好きの奴隷に仕立て上げるまで、この秘めやかな行為を続けていくだろう。
それにあの女性バーテンのことだってある。
彼女とのデート‥‥ううん、一日調教のあとで、私が私のものである保証なんかない。
あの人が、私のご主人さまになってしまうかもしれない。
けっこうこれで、私の倍率は高いらしい。簡単には、なびかない女なのだから。
だからこそ。
だからこそ、私は、ご主人様からの告白を、待ち続けるだろう。
そう。彼の準備が整うまでは、いつまででも。
まだ動揺を隠せない年下の彼の、やけに初々しい姿にほほえみつつ、先に歩きだした。
流し目をくれ、腹の中で台詞の残りを呟く。

「付き合う前から本気で両想いってのも、素敵な主従関係‥‥ですよね、ご主人さま」



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